STAR OCEAN Sanctions of God







第八章 







番外編







---F・カルナス内---



ヴァンと分かれてからエディフィスへ向かう途中…


「シャルの持ってる人形って可愛いよね」

プリシスがポツリと呟いた

シャルが常に手に持っているサッカーボール程の妖精らしき人形を指差してプリシスはジッと見つめる

「そうなの、お母さんに貰った大切な妖精なの」

プリシスはん?と言いながらまたその妖精を見つめる

「これ…妖精…?」

白くてもこもこしているが…妖精には少し見づらかった

と、急にその人形が

「失礼だプ」

と言い返した

プリシスは固まってぱちくりと瞬きをする

「…ん?今…喋った…?」

シャルとその人形が頷いた

でもプリシスはそれほどビックリしない

「お姉ちゃんは驚かないの…?」

プリシスは微笑む

「背中に竜を背負ってた人いたからね…♪

でも、ちょっとビックリ…今の今まで気付かなかった」

シャルと人形が唖然としながら人形がシャルの胸で手を上げる

「我輩はボーっとしてる事が多いから一応人形という事になってるんだプ」

プリシスはそこに驚いた

「え!?人形じゃないの…?てっきりいわくつきの人形かと…」

人形が嫌そうな表情をした後に右手をクイっと引く

「あいでででー!!!?」

急にプリシスのホッペがつねられて、人形に引き寄せられた


「失礼だプ

我輩の名前はちゃんとあるプ

アーツ・ギャラバトル・インキス十一世だプ」


プリシスがほっぺを押さえながら首をかしげる

「え?モーター?…いだッ!!!」

少し名前が聞き取りづらくて聞き返したのだが

今度はプリシスは地面に顔面を打ちつけた

「駄目だよ、アーツ、お姉ちゃん怒っちゃうよ…?」

アーツ・ギャラバトル・インキス十一世は舌打ちをした後にプリシスを見下す

「妖精の名前すら覚えられないのが悪いんだプ」

プリシスが一気に立ち上がってその妖精に向かってアッパーを喰らわせた

「ぐへべらぁ!!!」

そのまま空中に舞ったアーツ・ギャラバトル・インキス十一世はそのままプリシスのキックによって吹っ飛ばされた

「我輩が何をしたプぅッ!!」

と言いながら下に紋章みたいなのを出してその中に吸い込まれてメインルームから消えた

プリシスの二回目の蹴りは妖精が消えたせいで空振りになりそのままよろけてソファーに倒れこむ

「どこがいつもボーっとしてるのよぉッ!!ムキーッ!!!!」

もう一蹴りをあたえられなくてプリシスは悔しそうにぶつけた鼻を押さえていた

シャルが頭を下げる

「ごめんなさい…アーツはそんなに悪い子じゃないの…」


「きゃぁぁぁッ!!!」


悲鳴とともにリヴァルがタオル一枚で飛び出してきた

レオンがその叫びと共にメインルームに飛び込んでくる

「どうしたの…リヴァ…」

プリシスがリヴァルの細身の体に異様な物がくっついているのに気が付いた

「シャワーを浴びていたらッ!!

変な人形っていうか、何か変なのがくっついてきてですね…!あの、えと…!」

明らかにくっついているのはあの妖精であった

無言を貫き通そうとしているようだが、プリシスが睨みつける

「いやぁ…いい太ももがあったからついつい…かぶりつきたくなってプ…」

喋った事でリヴァルが余計に悲鳴をあげる

レオンが唖然とした表情で見つめていた

プリシスが拳を震わせている

「私だけならまだしもリヴァルにまで…迷惑を…」

変な妖精は焦りながらヤケクソになった

「くっ……そ、それならヤケクソプ!!!」

そう言ってリヴァルの胸に飛びついた

「ひ、ひぃ!!!」

レオンが状況を把握していない状態でリヴァルの姿に見とれていた

リヴァルが流石に離そうと引っ張るが…

「意地でも…!!は、はなさないプ…!!!」

変な意気込みでにやけた顔の変態妖精が胸にしがみついたまま離れない

レオンが変な気持ちになりながらハッとする

プリシスが流石にリヴァルと一緒になって妖精を引っ張り出した

「離れろぉ!変態妖精ぃ!!」

ハッとしたレオンだが目の前の光景にリヴァルを見ることが出来なかった

プリシスの気合で引っ張った結果



タオルごと妖精が取れた


「きゃぁあぁああッ!!!」


レオンが背を向けて顔を真っ赤にする

リヴァルはどうしていいものかとその場でしゃがみこんでしまった

タオルごと取った妖精を力いっぱい握り締めるプリシス

プリシスがシャルに怒りながら微笑み問う


「ごめん、シャル

この変態妖精を宇宙空間に放り出していい!?」





シャルは首を横に振る

「駄目…だってアーツは私を守ってくれる妖精だから…」

プリシスは今だ笑いながらその変態妖精を目の前に持ってきて睨み付けた

「こんな健気な子にどんな催眠術をかけたのよ…!」

妖精は首を横に振る

「わ、我輩は代々この子の一族を守ってきた守護妖精だプ…!」

プリシスが疑いの目でソイツを見つめた後に服が引っ張られるのに気付く

「ぷ、プリシスぅ…!」

リヴァルが泣きじゃくりながらプリシスに助けを求めていた

「ご、ごめん…!」

そう言って上に着ていた軍服をリヴァルにかぶせた

なんとかリヴァルはその場から逃げ去る

レオンはドキドキがおさまらない状態でうつむいて立っていた






「紹介が遅れて申し訳ないプ…

我輩の名は『アーツ・ギャラバトル・インキス十一世』

先祖代々この子の先祖を守ってきた守護妖精だプ」

プリシスが妖精に首輪をつけてその首輪に爆弾を仕掛けていた

リヴァルがふと疑問に思う

「守護妖精ならシャルとレイアが襲われた時なんでレイアを助けなかったのですか?」

アーツが頷く

「大変レイア嬢には申し訳なかったけど…

我輩はシャルしか守れないプ…

逃げ出した後も見知らぬ人には見えないようにしといたプ」

リヴァルは納得して、アーツの心情を察した

プリシスは信じていない様子で見つめる

「シャルは確かベルベイズ人だよね?」

シャルは小さく頷く

「だったらあのレイアって子もこんな妖精に守られてるの?」

シャルは首を横に振る

「私とお姉ちゃんは確かにベルベイズ人だけど…

血は繋がってないの…」

プリシスは首を傾げる

「でも、同じ種族なら…」

アーツが指を立てて横に振る

「ベルベイズ人っていうのははっきり言えば色んな種族の混合種族なんだプ

色んな所を巡って生活してきたから地球のように一定の人種だからと言って同じ性質とは限らないんだプ」

プリシスが関心しながら腕を組む

「アーツが守ってきたなら元の種族は分かるんじゃないの?」

アーツは目を瞑ってうつむいた

「我輩の目的はシャルを守り抜いていく事なんだプ、それ以外を他者に言う事は禁止されているプ…」

真剣な表情のアーツにプリシスが頷く

「少し…安心」

シャルが首を傾げる

「安心…?」

プリシスが笑って態勢を崩した

「はっきり言って、私達だけでシャルを守りきれるか心配だったの…

でも…アーツって強いの?」

そこだけが心配な様子のプリシス

レオンとリヴァルもアーツを見つめる


「弱いプ」


その場でシャル以外が倒れこんだ

「弱くてどうやって守るの!」

プリシスが突っ込む

アーツは抱えているシャルを見やる

「我輩の力は元々無に等しいけど、シャル次第ならいくらでも強くなれるプ」

シャルを見てリヴァルが顔を低くした

「確か、レイアと一緒に踊ってたましたよね?踊って戦うのですか?」

シャルは、んーと言いながら首を横に振る

「戦うなんてした事ないから…よく分からないの…

それに踊りをそういう風に使いたくない…」

アーツが皆を見た後に

「皆にはシャルの我がままを聞いてもらって連れてきてもらってるプ

我輩が少しでも邪魔にならないように指導するプ」

シャルが申し訳なさそうに頷く

「皆ごめんなさい…私…頑張る」

プリシスが苦笑しながらシャルの肩を叩く

「そんな無理しない程度にね…?」

シャルは笑顔で頷いた




「一応アーツ?」

レオンがひと段落ついた後にアーツに話しかけた


「さっき…リヴァルに何したか分かってる…?」


アーツはまた追われる羽目になってしまった







*こめんと*


なんだか話が深刻になってきた中でのお話

エディフィスへ向かう途中での変な仲間が増えたわけで

想像できますようにSO3のスフレの技の一つでの妖精な感じです

性格は見たまんま…!

シャルは頑張って踊りと戦闘の練習…!


さて…今後の行方は…?

こうご期待ですー!


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