STAR OCEAN Sanctions of God







第七章 






第三部


「えっと…お名前は…?」

リヴァルが腰を低くしてシャルに聞き入る

シャルは少し怖がりながら自らの名前を言う

「どこの子?」

ヴァンとどういう接点があるのかプリシスが腰を下ろしてシャルを見つめる

「ぅぅ…」

一歩退いてぬいぐるみを抱きしめる

「お姉ちゃん…」

リヴァルが気転を利かしてソファーに座らせる

ヴァンと接点があるのはレイアというのは知っているので、リヴァルは聞いてみる

「確か…レイア…?」

シャルがゆっくり頷く

「その…ヴァンは…お姉ちゃんに会いに行っただけなのかな?」

シャルは少し黙り込んでうつむいた

「う、うーん…何かあったの?」

シャルは呟く

「いっぱいの人にいじめられそうになって、私だけ逃がしてくれたの…」

シャルは不安そうに小さな手のひらでぬいぐるみをぎゅっぎゅっとしていた

三人は黙り込んで、うつむく

プリシスがシャルを見つめて首を傾げる

「詳しく…教えてくれるかな…?」

シャルは頷く




「嘘…それ…昨日…なんだよね?」

プリシスはシャルから曖昧だが、聞いた上で納得した

シャルは頷く

「……」

リヴァルはうなだれて、レイアの顔を思い浮かべ

頑張る姿が印象的で、笑顔が可愛らしかったのを覚えている

話したことはなかったと思うが、リヴァルはその理不尽さにため息をついた

プリシスが急に立ち上がる

「ヴァン一人じゃ危ないんじゃないの!?」

ヴァンの身が危ない訳ではない…

「熱くなりやすいヴァンが大切な娘を傷つけられたら…

それも最悪な形で…」

レオンは自分に当てはめてみてリヴァルを見つめる

「?」

可愛らしい笑顔

レオンは考えただけでも何か破壊しそうな勢いで拳を握り締める

椅子の背をゆらしながらレオンがモニターを見た


ズゥウウウンッ!!!!


「遅かった…」

そこに映っているのは街が半壊しかけている所だった

「ば、バカぁ〜!!!」

プリシスが頭を抱えてモニターに叫ぶ

レオンが舌打ちをして部屋を飛び出した

「レオン!」

リヴァルが呼び止めようにも、凄い早さで駆け抜けていったレオン

「レオンなら…大丈夫」

プリシスはため息を付きながら何かを調べ始める







『貴様は何が目的だ!!!要求を言え!!!』

廃墟と化した家で立ち尽くすヴァンは警備部隊に取り囲まれていた

「……」

ヴァンはただただ怒りと悔しさで拳を握りしめ警備部隊を睨み付ける

『攻撃行為を行うのならこちらもフェイズガンの許可は出ている!大人しく降伏しろ!』

警備部隊は強気でいるが、相当な恐怖感を覚えているのは確かで、

一瞬でこの辺りを消し去った覇気は未だ健在で、

フェイズガンが果たして効くのか不安でしょうがないのが現状である

そう言っている間にヴァンは前に進んで来ていた

『撃てぇッ!』


ドンッ!!!ドンッ!ドンッ!!!


50M程は離して囲っている中一斉にフェイズガンが放たれる

その瞬間、ヴァンは駆け出した


ドンッ!!ドンッ!ドンッ!!!


弾を右手で吹き飛ばしながら突っ込んで来たヴァンに警備隊員はフェイズガンから武装を変える前に吹き飛ばされる

「なんだあいつ!!?」

驚きが隠せない中、ヴァンを打ち続ける部隊


ドンッ!!!ドンッ!


弾は当たったと思っても全く反応がなく、ただただ隊員を吹き飛ばしていく

「なんなんだこいつは!!?」

部隊長が身を退きながらナイフに持ち変える

その瞬間には部隊長しか残っていない

接近戦の距離に持ち込もうとするが、その有余もなかった

「うぁああッ!!!」

物凄い速さで突っ込んで来たためナイフを突き出すが、

それをもろともせずに腹部に拳をぶつけ、部隊長が地面に転がる

まずこの娯楽施設の警備部隊にヴァンを止めさせようとした事が無駄であった


朱雀ッ衝撃破ッ!!!



炎の気をまとったレオンが朱雀の姿でヴァンに直撃

ヴァンは踏ん張っても炎に包まれ、怯んだ隙にレオンはステップを踏んで右手を前方に差し出す


ブラックセイバァッ!!!!


黒いオーラの刃を何重にも放ち、その刃と共に飛び出すレオン

ヴァンは無言で態勢を立て直し拳を無造作に突き出す


ズギャァンッ!!!!


ブラックセイバーを打ち消そうと振り出した手は血しぶきをあげていく

「くぅッ」

切れ味を感じ、何重にも突っ込んでくるブラックセイバーを避けるヴァン

黒いオーラと共に突っ込んでくるため、ヴァンの下に突っ込んでいたレオンに気付くのが遅れた

「ちぃッ」


ズガンッ!


レオンの拳を右腕でガードするが、その隙に


ディープフリーズ


防御した後、顔を狙うと思って防御したヴァンだが、レオンは足元で紋章術を使い

足元から一気にヴァンを凍らせた

「くッ!!」

下半身を凍らせた時点で氷を破壊するが


ズガァンッ!


レオンの拳が顔面直撃

ヴァンはそのまま地面を転がった


ディープフリーズ


レオンは冷静に転がるヴァンを無防備に氷付けにする

「頭は冷えたかな?」

ヴァンはゆっくりと氷を砕き起き上がる

「やっぱお前戦闘の才能凄いな…」

レオンはヴァンの横でため息をつく

「冷静になってないヴァンにやられる程落ちちゃいないよ」

ヴァンは苦笑いして地面を見つめる

「すまねぇな…迷惑かけた」

本当に申し訳なさそうにヴァンが拳で地面を叩く

レオンはうつむいてその拳を見つめる

「気持ち…少しは分かるから…」

ヴァンは首を傾げる

「なぁ…なら、なんで俺はこんな気持ちなんだ?

物凄くムカついて…物凄く悔しくて悔しくてッ…」

レオンは呟く

「悲しいんだろ?」

ヴァンは目を細めて首を傾げる

「悲しい…?悲しい…か」

レオンは頷く

「怒りとか悔しさ…いつもはすぐに消えるんだが…

それに今は不安でしょうがない……レイアは…無事か…どうか」

レオンは周りを見渡す

「この様子じゃ死者は確実に出ている

一人のために…精一杯守るのは誇るべき事だけど

そのせいで一人を死なせるのは…どう思う?」

ヴァンは黙って空を見上げる

「難しいな…だが、それが誇りなら、一人を死なせるのは…」

考えているヴァンをよそにレオンは連絡を受けて、安堵の息を付く

警備隊が警戒を解いてゆっくりと近づいてきた

「ヴァン…と言ったな…守りたい者のためでも、法に触れない範囲で頼みたいものだな

お前をこれから法で裁くわけなのだが…

確実に死刑か終身刑に行き着く」

レオンは覚悟はしていたが、うなだれる他なかった

「これが…俺のした事か…」

警備隊長が頷く

「ご同行願う」

ヴァンは黙って頷いた

警備隊長がヴァンの手に手かせをつけ、進ませる

ヴァンの表情は悲しみに溢れていた

レオンが一歩踏み出す


「ヴァン、プリシスが調べてくれた

レイアは昨晩この警備隊に保護されたんだ」


安心して座り込んだヴァン

「そう…か」

そしてヴァンは警備隊の面々を見た

どこか複雑そうな表情で苦笑いしている

ヴァンは地面に頭を付けて頭を下げた


「本当に申し訳ない事をした…

そして…本当にありがとう…」


警備隊はどこか報われた表情で頷いた

警備隊員がヴァンの元へ寄って来て

「お前の名前…ヴァンだったな?

彼女、ずっとお前の名前を言ってたぞ

まさか…こんな男だとは思わなかったがな」

笑いながら警備隊員はヴァンの背中を叩く

他にも色々と慰めの言葉をかけてくれた

ヴァンは首をかしげた

「どうしてだ?俺はお前らをぶっ飛ばしたし…

お前らの町を壊した、人を死なせた

なのに、なぜ笑うんだ?」

警備隊長が微笑みながら息を付く

「確かにお前は許されない事をしたが…

しっかりとお前は裁かれる

お前のやったことは根本的には我々には理解できるんだ

大切な人は我々にもいるからな…

こう言ってはあれだが…

お前は本当に不器用だな」


ヴァンは笑いながら…泣いていた






*こめんと*


暴走したヴァン

それは普通の人間では止める事は不可能に近く、止める事はできなかったが…

レオンが冷静にヴァンを止める

技オンパレードに、レオンが鬼人化っぽくなってました

いや、体と知識が同調するようになって本当の強さを手に入れたのかと…思います

コワイコワイー

やっぱりこの話はヴァンの想いもありますが、人間としての素質も問われましたね

やっと人間に近づけて、レイアも無事だと知った

なのに終身刑か死刑、これじゃ私だったらレイア連れて逃げますね(笑

次の部を楽しみにしてくださると嬉しいです!


更新がまた早くなりましたが…

私ちょっとそろそろ更新するのが限界がきそうなので、それまで少しでも更新したい…!

な感じです!

言っておきます!一応最後までの話が私の頭に出来上がってます!

ノリ的にここまで序章みたいな感じです!

ドンドン盛り上がってドンドン変わって行きます!(ちょっと言いすぎかな…と終わるか心配

というかこれ自分で漫画にしたい気分です…!(ボツ


今年でSOHP7年目です

HP名とか色々変わってきましたが、ここのHPと共に絵、小説シナリオを上達させ

様々な方々にお世話になってきました

このHPがあったからSOをより愛せたと思います

将来の方向性も変わって来ました(農業者ですがw

これからもこの小説を主体にしていきますが、どうかお暇の間にこのHPを見に来て見てください!

って、ナガァーーー!!!









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