STAR OCEAN Sanctions of God







第六章 






第二部


「ひゃぁ!冷たぁい!えい!」

「うわ!や、やめてよ!プリシス!」

海ではしゃぐご一行

そんな中クロードは私服で一人パラソルの下で空を見つめていた

「どうかしたの?クロード」

気がつけば隣にレナがいて、クロードと同じ方向を見つめていた

「いや…なんでもない…」

レナは息を付いてクロードを見やる

「やっぱり不安?」

何かを見透かしたように言うレナ

クロードは瞳を閉じて頷いた

「クロードは…真面目すぎるのよ…もっとリラックスしなくちゃ」

クロードは少しの間黙っていると、ゆっくりと瞳を開けた

「悪夢を見たんだ…」

レナはそっとクロードに寄り添い呟く

「どんな悪夢?」

クロードは少し躊躇していたが、ゆっくりと口を開く

「もう忘れた筈の悪夢だよ…」

レナはどこか寂しげにクロードを見つめる

そしてクロードの手をギュッと握った

「大丈夫だよクロード

クロードは勇気があって強いから…

どんな困難も打ち破れるよ」

クロードはレナを見つめ、爽やかに笑った

「ありがとう…レナ」

レナは含み笑いをし、クロードはニッコリと笑っていた


「レオン…泳げません…」

リヴァルは少し悔しそうにレオンにしがみついていた

「ぼ、僕が溺れるって!」

ブクブク沈んでいく二人を見てギョロウルは速攻で向かって行く

「大丈夫か?」

浜まで二人を持っていくと、ギョロウルは二人の頬を叩いた

「な、なんとか…」

レオンは起き上がって、リヴァルを抱え、パラソルの下へ向かって行った

「なぜ溺れるのだろうか…

俺は全然水の中でも呼吸出来るのだがな」

レオンが振り返って唇をとがらせる

「僕らは特殊じゃないんだよ!」

その言葉に、駆けつけたアシュトンに語る

「今のは差別ではないのか?」

アシュトンはあやふやな言葉を発して苦笑いした

プリシスがブーブー言いながら迫ってくる

「ずっとアシュトンいると思って一人で喋ってたじゃないのさー!」

アシュトンはまた苦笑いしてプリシスをなだめた

ギョロウルはなんだか呆れたような顔で二人を見る

「なんだか意気投合しているのか駄目なのかよくわからんな二人とも」

アシュトンとプリシスは同時に

「「ばりばり仲いいよ!!」」

と叫ぶ

アシュトンとプリシスは顔を見合わせて笑いあう

そんな二人を見てギョロウルも微笑んでいた


ズッガァアアン!!!


突然の爆発音

「な、何!?」

プリシスが素早く爆発の起こる場所へ目を向ける

ホテルから黒煙が溢れ出し、人の叫び声が響いている

「な、なんだ!?」

アシュトンが顔を歪めて浜辺へ駆け出す

クロードとレナも異常事態に顔を見合わせている


「このハイダプリズムホテルは我ら宇宙海賊『ロウズ』がいただいた!!!」


突然と鳴り響く声

ホテルの上空には海賊船と思われる戦艦が姿を現した

「なんでこういう時に海賊なのさぁー!」

プリシスがムキー!と言いながらじたんだを踏んでいる

クロードは落ち着いて立ち上がる

「とにかくここにいちゃまずい」

レナが頷いて回りの物をまとめ始めた

プリシスはぶーぶー言いながらも手伝い、アシュトンがおだめる

レオンは一人ホテルを見つめていた

リヴァルが首をかしげて話しかける

「どうかしたのですか?レオン」

レオンは頷いて振り返る

「ヴァンが中にいるからさ、大丈夫かなって思って」

リヴァルは穏やかに微笑む

「海賊程度にはやられませんよ、ヴァンは」

レオンも頷く、ヴァンの強さは身を持って知っている

「それでここからどこへ向かうのだ?」

ギョロウルが目を細める

クロードは頷く

「一応、近くにいる銀河連邦が援助には来るはずだから、出来ることはしておきたい」

レナが少し不安げな表情でクロードを見上げる

「まさか、海賊と戦うの?」

クロードは優しい表情でレナの肩を叩く

「相手は海賊だ、何も言わず攻撃してくるかもしれない

僕も軍人だ、銀河連邦が到着するまでにどうにか人質をとらせたくない

最低限やれることはやっておきたい」

レナは何も言わずに頷く

「皆、協力してくれる?」

レナの言葉に全員賛成した

「当ったり前だよ!なんだか海賊退治ってなんか楽しそうだね!」

アシュトンがため息をついてプリシスを見やる

「遊びじゃないんだからね?」

プリシスは口を尖らせる

「わ、分かってるよ!」

レオンとリヴァルが含み笑いをしながらギョロウルが何かを察知したのか後ろを振り向いた

「こっちに海賊ってのがやってくるみたいだぞ」

全員身を潜めながらも駆け足でその場を後にしようとした

「ギョロ、ウルルン!早く!」

動かないギョロウル

ギョロウルは振り返らずに叫ぶ

「やつらはこっちでおびき寄せておく」

アシュトンは少々悩んだが、口元を緩めて無言で頷いた



「そこののお前!殺されたくなければおとなしくしろ!」

ギョロウルは黙ったまま海賊一味に囲まれ、フェイズガンを向けられた

「…そうか…俺と戦うか…」


ズガァアアンッ!!!


物凄い突風と共に吹き飛ばされる海賊たち、気が付くと目の前にはハイダの空に伸びる双頭竜がこちらを睨み付けていた

「ひ、ひぃいい!!!」

「ば、化け物だぁああ!!」

一気に退却する海賊たち、ギョロウルは逃がす筈もなく、尻尾で逃げる海賊たちをなぎ払う



「派手にやってるなぁ…」

レオンが逃げながら苦笑する

クロード達はF・カルナスのある場所へ向かうと、すぐさまF・カルナスに乗り込んだ

「ここまでまだ海賊たちが来てなくて良かった…」

クロードが安堵の息を吐くと、レナとアイコンタクトを交わす

「損傷は少しながら直っているのですが、

カルナスを占領しに来るのも時間の問題、戦闘班と防衛班に残ってもらいます」

プリシスが大きく叫ぶ

「つっこみたーい!」

アシュトンが見かねて手を上げる

「僕も戦いに行くよ」

クロードは頷いて回りを見渡す

「一応緊急任務として行ってもらう

任務の内容は、隠密行動で中の状況、そして人質にとられている人の確認や敵の数

所有武器、出きればこの場所を占拠した理由などが分かれば報告してもらいたい

相手が殺しにかかればそれ相応の対応は許可する

防衛はとにかく最小限の戦いであること

以上」

プリシスがアシュトンの裾を引っ張って目を輝かせる

「任務とか格好良くない!?

わはぁー!頑張るぞー!」

アシュトンは既にため息をついていた

「隠密は無理そうだなぁ…」

レオンが深呼吸をしてリヴァルを見やる

「それじゃ、一応プリシス達と一緒に出て防衛しに行こうか」

リヴァルは頷いて皆に続いて行った



「皆行っちゃったね…」

レナがクロードに身を寄せる

クロードは少しだけ戸惑ってレナの瞳を見つめた

「レナ…今は任務中ってことになってるから…」

レナは頬を膨らまして目線を低くする

「だ、だって…やっと海で楽しんでたのに…邪魔されちゃったから…」

クロードはただため息をついてレナの頭を撫でた

「確かにそうかもしれないけど…今は…んッ」

レナが強引に唇を奪ってきた

クロードは戸惑う事無く薄っすらと瞳を閉じ、レナの手首を掴んで押し倒した

レナはクロードの首をギュッと抱きしめるが、クロードはすぐさま立ち上がる

「クロード…?」

レナはどこか物足りない気分でクロードを見上げる

「さぁ…もう任務を進めよう」

レナは唇を噛み締め、クロードの服の裾を引っ張った

「どうして?」

クロードは黙ったままである

「最近…何年もゆっくり二人で出かけたりしたりすらないよね…?

お風呂にも入ってくれない…壊れるほどに愛してくれない…」

レナの瞳からは雫がこぼれ始める

「それほどクロードがお仕事しているのは分かるよ?

でも…息抜きしようよ…

ワガママだって分かってるよ?皆頑張って戦いにいった

でも……私は少しだけでもいいからクロードとゆっくりとしていたい

私…それまでいっぱい…いっぱい頑張って…」

クロードはその言葉に何かを思い出したのか…表情が固くなる

クロードはレナの掴んでいる手を払うと歩きはじめた

「レナ

今は緊急任務中

それも人の命がかかっているんだ

皆が頑張ってる中で息抜きをするわけにはいかない

僕は戦闘班としてプリシス達を追ってくる」

レナは体を振るわせ、うつむいて雫を零す

「クロード…

数年前のクロードは義父さんの壁を乗り越えて、自分を取り戻して…

本当に凄い人になったよ

今ではほとんど任務任務でゆっくりできない

ゆっくりな時間ができてもすぐ任務に行ってしまう

偉くなればなるほど任務が辛くなる

私と会う約束はいつも仕事に潰されちゃう…

昔白い目で見られていた分を取り返そうとしているの?」

クロードは苦笑いして否定する

「ち、違うよ…」

それでもレナは迫っていく

「褒められて称えられることに溺れてしまったんじゃない?」

クロードは悲しげな表情になってレナの肩を掴んだ

落ち着かせようと…一息をついた…

それでもレナは…


「ねぇ…本当はもう私の事より任務のほうが大切なんじゃないの?」


パシンッ!


クロードは目を見開き、レナに平手打ちをかます

荒い息を吐きながら歯を食いしばるクロードは…

忘れていた筈の悪夢を完全に思い出し…レナを見れなくなっていた

「クロード…?」

レナはクロードがどこか悲しんでいるように見えて…

何か重い何かを背負っているかのような…気がしてならなかった


「レナに今の僕の何が分かるっていうんだ?」


突然の出来事にレナはただ呆然とそこで立ち尽くしている

なにが分かる?

私は全く理解してあげられてないっていうの?

レナの目から涙が止まることはなかった






*こめんと*

皆がのほほんとしているのに何してくれるんだ!

宇宙海賊とか未来、宇宙を飛び交うようになったら出てくるんでしょうねー;

そんなこんなでギョロウルが足止めしている間に皆はカルナスで作戦会議

戦闘チームと防衛チームに皆分かれるも残ったクロレナ

レナは防衛チームに任せてゆっくりしたいと言うが、

クロードは真面目に任務任務

愛しているかと問えば…

クロードは数年の間で何かが変わってしまったようで…

うはっどろどろの恋愛模様がおきそうですね!

最後部分訂正させていただきました

熱だしていた時に書いたので後々読んだら変な展開に自分でもびっくりです!(おい

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