STAR OCEAN Sanctions of God







第六章 






第一部


「えっと、一応カルナスのメンテナンスで三日かかるらしいんだ」

クロードがそう言うがプリシスはその言葉に頬を膨らます

「一週間って言ったじゃーん!」

クロードは苦笑いしながら皆を見渡す

「一応カルナスもそれほど損害がなかった

それに、一刻の有余もない任務だから…

出来るだけ早めに出発したいんだ」

プリシスはうんうん頷きながら合図を待っている

遊びたくてしょうがないプリシスはうずうずしていた

隣でアシュトンは笑っている

「それじゃあ、そういうことで…

一応それまで万全の態勢でエディフィスへ行ける様に

ゆっくり休んでくれ」

その言葉とともにプリシスは飛び上がってアシュトンの手を引っ張って駆け出して行った

「海行こう海!!」

その後に続いてリヴァルとレオンが小走りで着いて行く

「リヴァルは泳ぐ?」

「はい、頑張ってみます」

クロードが少し苦笑しながらレナに振り返る

「皆昔と変わらないねー…」

レナは微笑みながらクロードの頭を小突く

「クロードもでしょ〜」

陽気な気分でレナはクロードを見上げて手を掴む

「レナ…僕達はレストランにでも…」

「私も泳ぎたいの♪」

クロードはしょうがなくゆっくり頷いて引っ張られて行く

「おい、俺は何してればいいんだ?」

ヴァンが引っ張られるクロードに向かって叫ぶ

クロードは何か言っているが聞こえそうになかった

「お気楽な奴らだな本当…」

つまらなそうにヴァンは通路を歩き始めた

一応はホテルということでこの施設は成り立っている

プールや海、レストラン、ビリヤードに戦闘シュミレーションまで数々の物が揃いに揃っていて

最近銀河連邦に加入し、急な発展を遂げた惑星でもある

急な発展を遂げたこの惑星は自然が保ってられなくなりつつあり

未来には人口惑星のようにする計画が進んでいる

「戦いてぇーんだよなぁ…」

ヴァンはジャブやアッパーなどを素振りさせながら通路をひたすら歩いていく



「ん」

気が付けば大きな広間に出ており、そこで人だかりができていた

「何の見せもんだ?」

そうポツリと呟いただけだったのだが、聞こえていたのかフロントのボーイが答える

「今年からこの広間で色々な見せ物をするようになったんですよ

やっぱり客寄せや、宣伝も兼ねてですがね」

ヴァンはなんとなく頷いた後、聞いてみる

「今は何をやってるんだ?」

ボーイはステージで色々とやっている人達の方を見つめ、呟く

「ロセッティ一座ですね」

ヴァンはふーんと言いながら答える

「何をする奴らなんだ?」

ボーイはヴァンのほうに振り返りニッコリと笑った

「最近出来たばかりのサーカス団らしんですけどね

宇宙を旅して芸を披露しているらしいですよ」

ヴァンは少し感心しながらその一座を見つめた

「宇宙には色んな奴らがいるんだな…」

ボーイは頷いて再び一座のほうを見つめる

それからヴァンは何も考えずに終わるまでその人々の芸を見て感心していた



「お…」

軽やかに動くピエロ、人では真似が難しそうな技や芸を次々と繰り出してく一座

その中で始めて失敗した一人の少女がいた

華麗に踊っていたのだが、途中で足をひねってしまったらしく、その場で倒れこんでしまったのである

観客がざわめくが、少女は負けずと踊り続けた

ヴァンは少しだけその頑張りを見て笑みを浮かべている

一瞬その少女と目が合い、ヴァンは少し戸惑いながらガッツポーズをして見せた

少女はヴァンを見て微笑んで舞ってみせる

ヴァンは拍手をして終わりまでずっと気持ちが高ぶっていた

「こうやって頑張って生きる姿を見ていると俺もなんだか熱くなってくるぜ…」

そうしてヴァンは暇を潰していった




ヴァンはロセッティ一座の講演が終わり

また暇そうに通路をほっつき歩いていた

「んぁー…また暇になっちまったな…」

そう言ってヴァンはまた広い広場のような場所に出た

「ここは…」

デカい機械が並ぶそこは少年達で溢れていた

「おい…ここは何だ?」

少年が少しいぶかしそうな表情で見るが

すぐさま笑顔になって機械に指を指した

「ファイトシュミレーターだよ!お兄さんもやってみる?」

ヴァンはカルナス内でやったシュミレーターを思い出し

頷きながら少年達の中に混ざっていった

「ん?あそこ凄い人だかりだな」

少年が少し背伸びをしながら遠くを見ようと頑張っている

「えっとね、さっき落ち込んでたお姉ちゃんを僕が誘ったんだ…ほっ」

飛び上がる少年を見てヴァンは無言で少年を肩車した

「わっ…ありがとう

そしたらね、お姉ちゃん凄い綺麗に舞いながら戦うんだよー」

ほーっと言いながらヴァンはあの少女を思い出した

今舞う少女と言ったらあのロセッティ一座の少女しか思い出せない

興味本位で奥に割り込んでいく

「はぁー…疲れたぁー」

丁度ファイトシュミレーターから出て来た少女

汗を拭いて少年達に頭を下げた

「誘ってくれてありがとう

なんとか元気になれたよ

それじゃ」

少年達に手を振りながら少女はその場を後にした

「……」

ふと去っていく姿を見ていたヴァンは少女がどこか寂しげな背中であることに気付いた

「………うし、俺用事が出来たわ、じゃあな!」

「え?あ、うん」

少年達に別れを告げ、少女の背中を追いかけるヴァン

「おい!」

少女の肩を掴むヴァン、少女は物凄いビクビクっと震え振り返った

「わ、私何か悪いことしました…?あれ…?」

突然首を傾げる少女

じーっとヴァンの瞳を見つめた後

「あー!確か披露の時に目が合った人ですね…!」

思い出してくれて少しだけ安堵の息を漏らすと、眉を潜める

「お前落ち込んでるか…?」

少女はどこか焦りながら苦笑いをしてごまかす

「ぜ、全然!」

ヴァンは呆れたように息を付き、少女の目線まで腰を低くした

「俺は落ち込んでジメジメしている奴が大嫌いなんだ」

結構な事を言われて半べそをかく少女

うつむいて黙り込んでしまった

「…公演の時の失敗か?」

一度ヴァンの事を見る少女

ゆっくりと頷いた




---カフェ 「ディランテ」---


「わ、私いつもロセッティ一座の足を引っ張ってるんです…」

ヴァンは人間の気持ちになってみながら考えている

「失敗は一回だけじゃないのか?」

少女は首を横に振ってうつむく

「一回でも駄目なんです…

失敗はしちゃいけないんです…」

ヴァンはジメジメしている少女を見てため息を付く

クロードの「これからは困ってる人がいたら助けてあげるんだよ?」

助けたがなんで追いかけたのか今更面倒くさくなった

「他の団員がうるさく言うのか?」

それも首を横に振る少女、ヴァンはよりため息が濃くなった

「皆は気にしない気にしないとか言ってくれて気遣ってくれてるんです…」

ヴァンは普通に?で聞き返す

「じゃあ、お前が頑張ればいいんじゃないのか?」

少女がまた首を横に振った頃にはヴァンはテーブルに伏せていた

「わ、私…どう頑張っても駄目なんです」

ヴァンはごにょごにょと何か言った後に顔を起こす

「全力で頑張ったのか?」

その言葉に少し目を反らす少女、ヴァンは口をあんぐりと開けていた

ここまでマイナスに考えているとこっちがムカついてくる

「うし!!これから練習だ!!ほら立て!」

「ふぇ…?」






「すいません、自己紹介遅れました

私、レイア・ロセッティって言います」



ヴァンは少し面相くさそうにベンチに座り呟く

「ヴァンだ」

レイアは少しだけ真面目な表情になると踊りの構えに入った

「それ、さっきやってた踊りか?」

レイアは頷いて唇を噛み締める

「いきます」

右手を前に出し、ゆっくり軽やかに踊るレイア

ヴァンはぼーっと見つめる

「とわっととと…!」

なんだか危なげに躓くレイア

舌を出して頭をかくと、もう一度構えて見せる

ヴァンは立ち上がってレイアの元へ歩み寄る

「俺が見る限りじゃ…

小さなとこでミスってるように見えるんだが…

そこから直していくべきじゃないか?」

レイアは首を傾げた後ひとしきり考え、頷く

「頑張ってみます」



数時間のヴァンのそれなりの忠告を受けながらのレッスン

最初とは全然違い、レイアは積極的に失敗した部分を直すようにしていた

レイアはどこか自身に満ち溢れ、汗をかきながらも笑っている

「まぁ、こんなもんじゃないか?」

ヴァンは小さな拍手をしながらレイアに背を向ける

「いっちゃうのですか?」

背を向けたままヴァンはため息を付いて呟く

「俺はただ変なお節介をしただけだ…」

レイアはヴァンの前に立ちはだかり、意気込む

「お礼がしたいです!」

ヴァンは首を横に振る

レイアは負けじと眉を潜める

「な、なら!ロセッティ一座の無料鑑賞券を差し上げます!座長に怒られますが…」

ヴァンはため息を盛大に吐き出し、その場を去って行った

レイア意地でも恩返しがしたいのか追いかけていく

「ま、待ってください!なら私を貰ってください!」

ヴァンは振り返ってレイアの額を人差し指で思いっきりつついた

「あぅ!」

ヴァンはレイアを見下ろす

「大袈裟だ!なぜそんなにお礼がしたい!」

レイアははきはきと言う

「座長に、親切にされたら数倍で恩返しなさいと言われているのです!!」

ヴァンは落ち着いて言う

「なら着いて来ないでくれ」

レイアは口をあんぐりと開けてががーん!と口で言った

「分かりました…着いて行きません…」



「……着いて来てるんじゃないのか?」

ヴァンは横にいるレイアに呟く

「いえ!私こっちに用があるんです!」

「…………」









*こめんと*


大変長く更新できなくてすいません!

まぁ、色々事情があるわけです

そんなわけで皆遊び始めたご一行!

ヴァンだけ寂しそうにしていればなんだか変な少女とめぐり合う

はてさて、これが後々どう影響していくのでしょうか?

というか、私も混じって海行きたいです


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