STAR OCEAN Sanctions of God







第四章 






第六部



ガキャァン!!!!


アシュトンとリヴァルの剣が唸りをあげながら火花を散らす

リヴァルは片手剣でなんとかやっていけているが、相手はアシュトン

ギョロとウルルンがいなくなっただけでは彼の力はそう衰えない

何より二刀流であり、攻撃を弾いた上に、攻撃まで同時に行われてしまうのだ

リヴァルは剣を交えるたびに右肩の激痛に歯を食いしばるしかなかった

「はぁ!」


カキィイン!!


油断していたリヴァルは握っていた剣を弾き飛ばされ、唖然とした

「ちぃ…!」

リヴァルは舌打ちをして後ずさりを始める

やはり力のない状態、それも片手だけで剣を振る

リヴァルはこのままの状態で勝てるとは考えられず

ただただアシュトンを睨み返すだけであった

「負けです…私はあなたにはかないません…」

リヴァルは決心したように手を広げ、とどめをさされるのを待った

「………」

アシュトンは剣をしまい、リヴァルを睨み付ける

「レナの痛みはそんなすぐ死ねるような痛みじゃない」

リヴァルは鼻で笑い、左手で髪を後ろにどける

「そうですか、ここで殺さないことを後悔するといいですよ」

リヴァルはそう言うと羽を羽ばたかせてどこかへ行ってしまった

アシュトンはリヴァルがどこか哀れに見え、ただ黙ってアポトロディスの方を見つめた

「…………」




キィイン!!


腹に刺さっていた剣をヴァンは手刀で叩き折り、そのまま地面を滑って体勢を立て直した

「つぁー、怖いわ

大切な奴とは知らずにすまなかったな…

ってのは…なしなんだろ?」

クロードはやっと平常心を取り戻し、折れた剣を投げ捨てる

ヴァンも刺さったままの剣を抜いて投げ捨てた


「レナに手を出しただけじゃない…

お前は僕らの仲間を消そうとしている

だから…僕はお前を許さない」


ヴァンは苦笑いして構えに入る

「俺はただ命令に従っているだけだからな、消される覚えはない」


ズガァァアン!!


二つの拳が混じり、周りの瓦礫を吹き飛ばしていく


ズガァァアン!!


まずはクロードの右ストレートがヴァンの顔を捉え、吹っ飛ばした

「ぐぅ、まだだぜぇ!!!」

吹っ飛んだヴァンは空中で一回転して地面を踏みしめた

「おらぁああ!!!」

ヴァンの距離を無視したストーレートタックル

気が付かぬ間に目の前にいるヴァンにクロードは防御をするが、


ドンッ!!


強烈な一撃、ヴァンの全体重をかけたタックルに後ろに転がっていく

ヴァンはそのまま間を置く事無く地面を蹴り、クロードの腹に蹴りを入れた

「ぐぅ!!」

クロードはそのまま転がりながらヴァンの方向を見つめる

ヴァンはもう一度蹴ろうと足を振るが、クロードは転がりながらそれを避け、起き上がるのと同時に

ヴァンの顔面に向かって上段蹴りをかました

「ちぃ!!」

顔を前に起こす前に既にクロードは後ろに回りこみ、今度は後ろの頭部に上段蹴りをお見舞いした

ずがんと鈍い音がしたが、ヴァンはそのまま地面に手を付き、前転をしてクロードとの間合いを計った

「やっぱりお前とやるのは楽しいわ…

決着が付くことすら興醒めするぐらいにな」

クロードも口を緩めて笑う

「あぁ」








ズダダダダダダッ!!


オペラの乗った小型宇宙船からの援護射撃

双頭竜が火炎放射で怯んでいる間、しっかりとダメージを与えていた

だが、アポトロディウスが気が付かない程の小さな物であった

「もうー…なんなのこの化け物…

こんなに撃ってるのにまるで無視…

しょうがない…」

オペラは宇宙船を自動操縦に切り替え、アポトロディスの背中に飛び乗った

「近くで見ると…背中は厚い鱗があるのね…」

そう言いながらコスモライフルの組み立てをガチャガチャと済まし、零距離でぶっ放した


ズガァアアンッッ!!!


やはり少し無理があったのか、オペラは相当吹き飛ばされてしまった

だが、コスモライフルの弾は確実に貫通していた

「グガァアアアアアア!!!!!!」

双頭竜に攻撃していたアポトロディウスは怯み、空に向かって吼えていた

「なら、何発でも打ち込んであげるわ!!!エルの分もね!!!」


ズガァアアンッッ!!!

ズガァアアンッッ!!!


「グガァ!!!!オォォオオオン!!!!」

アポトロディスはまさかの奇襲に興奮しながら敵を探していた

だが、オペラのいる背中はアポトロディウスから見れば死角であり、

敵を発見できずにアポトロディスは当たりを見回していた

背中には相当なダメージを負っている


ズガァアアンッッ!!!

ズガァアアンッッ!!!


「ゴォオオオオ!!!!グゥウ!!!」

『すまない』

アポトロディウスはさすがに怒ったのか、唸り声をあげながら尾で周りの建物を破壊し始めた

双頭竜は起き上がるが、限界がきたのか元の姿に戻っていく

「わ、ちょっと…!!」

尾を振り回すアポトロディスから振り落とされるオペラ

数度ぶつかりながら地面へ落下して行った

「きゃ、きゃぁあ!!!」

一瞬走馬灯を見た気がしたが、落下が止まる

「大丈夫ですか?オペラさん」

いつのまにかオペラを抱えるアシュトン

オペラは安堵の笑みを浮かべ、微笑む

「ありがとうアシュトン」

アシュトンは頷いて近場の高層ビルの上に降りる

「さて…どうしたものかしら…」

オペラが暴れるアポトロディスを見ながら呟く

アシュトンは剣を握り締めながらため息をついていた


「ッ!!!」

そう…

それはまだ今までの戦いがお遊びだったような光景

アポトロディスは黒いオーラを放ちながら魔物を次々に生み出していく

その魔物は気が付かない間に街を黒に染めるほどに増え、街を壊し、徘徊した

「そ、そんな…」

アシュトンは一歩下がり、オペラは頭を抱えた



グオォオオオオオオオオンッッ!!!





---地下19階格納庫---



「やっぱり開いてた!」

プリシスは急いで格納庫に入っていくが、そこにはリヴァがいた

「え?なんでここにリヴァルが?」

リヴァは重体であろうレナを見ると目を見開いて駆け寄ってきた

「レナに助けられて、まずレオンを休ませようと思って抱えてここまできていたんです!

れ、レナも早くこの奥へ!」

プリシスは心配になる

レオンまでもがやられてしまっていたのかと…

血が滴れるレナから呼吸がなくなったのを感じ、全速力で奥へ向かっていく


そこは安置室

それほどいい設備が整っている訳ではないようだが、休眠用のケミカルボックスがあったのにはびっくりした

大抵そこに死人を入れない限りは全てを癒す溶液で満たされた中で回復する

「さぁ、早く!一刻の有余もないのでしょう?」

そう言ってレナの服を脱がせるリヴァ

プリシスはなんだか赤くなっていた

「くぅ…まだレナに勝てないのか…!!」

女性の個体差をぐじぐじ言うプリシスはなんだか女の子であった




「それで、プリシスはなんでここへ?」

プリシスはにんまりと笑うとリヴァの席を借り、相当な早さで色々と打ち込んでいった

『コンプリート』

「うっし!」

警報がなるとともに、今まで壁だと思っていた場所から一体のロボットが姿を現した

「ぷ、プリシスこれは!?」

プリシスは自慢げに叫ぶ


「無敵君!!!!」


リヴァは驚いた表情でその無敵君を見上げる

ネーミングセンスはとやかく言わなかった

「人の顔をしてますね…」

そう、人を模して作られたロボット

それは見ているだけでどこか神秘さを感じずにはいられなかった

「私が一番最初に作った無人君と同じ気持ちで作ったんだ」

リヴァは首を傾げる


「人に希望を抱いてもらいたい、そして人を守りたい…

えへへ、あの無人君じゃちょっと無理があってけど…

今度こそ…!」


リヴァは笑みを浮かべて問う

「オペレーターは必要ですか?」

プリシスはにんまりと笑った

「お願い♪」



『第二パルス、メカバイン「無敵君」発進準備完了

プリシス・F・ノイマン、準備が出来次第合図と共に発進願います』

プリシスは親指を立てて笑みを浮かべる

「行って来ます!」

リヴァは頷く


「無敵君」準備完了!プリシス・F・ノイマンいっくよー!!」


『了解!!!イグニション!!!』


ズガァァァァッァア!!!



*こめんと*


優しさなのか、リヴァを逃がしてしまったアシュトン

それを哀れむ気持ち

どこか寂しさが残る背中であったそうな

オペラさんは乱暴にも背中に乗っかってコスモライフルをズガンズガンぶっ放す様

ワイルドだー!

落ちるオペラを助けるアシュトンだが

やはりアポトロディウスはただでは起き上がらなかった

魔物を生成し、ばら撒いていた


そんな中やっとプリシスの最高傑作「無敵君」が登場!

さぁどうなる!!

皆頑張ってね!(無責任




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