STAR OCEAN Sanctions of God







第三章 






第五部



「レオン博士!軍の方から指令が出ている筈ですぞ!?」

レオンが口を開けて呆然と紋章術の研究を進めている

リヴァルは首を傾げてレオンにお茶を出す

「聞いていますか!他の研究局の方々は既に避難していますぞ!」

レオンはどうしようか考えながら、立ち上がる


「僕はここでしか研究しない性質なんだ!」


軍人は少々困り気味で、頭をぽりぽりとかいている

「それは困ります…!研究熱心なのは構わないのですが…;

一応全員避難させるように言われているので、レオン博士と…助手…さん?

を置いていくわけにはいかないのです…」

レオンはぁーっと言いながら天井を見上げ、リヴァルに目をやる

「分かりました…まだ準備出来てないので、後々そちらのほうに向かわせていただきます…」

軍人はホッと息を吐いて、敬礼する

「それでは、絶対!今日中にアムームの公共軍施設のほうにお集まりくださいね!

しっかりと来た方の名前はチェックは見ますので!その辺りはご了承ください!では!」

そう言うと軍人はさっさと去ってしまった

リヴァルは心配した面持ちでレオンの顔を覗き込む

「レオン?避難するのですか?」

レオンはまさかと言ってにやりと笑った

椅子を回転させて後ろのPCに向かってキーを高速で打ち始める

「さっきの救護班の人は元々は戦闘班の方々だったみたいだ

それほど人手不足…っと

ん…

って事は今の軍は避難は最優先、そして大規模に行われている

見つけやすいわけだ」

リヴァルはレオンのキー打ちに見とれながら何故かどうしてと問う

レオンはPCの画面をリヴァルに見せる

「だから…

今アムームに来た人たちを一人一人チェックされていく

今そこに侵入したから、どのくらいの早さで人が集まっているか分かる」

リヴァルはチンプンカンプンで頷く

「ぅ…文字がいっぱい…」

酔いそうな程にチェックされている人々の名前がザーっと流れている

「まぁ…はっきり言えば…

あっちに言ってないけど、ここでチェックしちゃおうって話

でも今すぐじゃない…

今日の言われた時間ぎりぎりで適当にチェックされるようになっているわけ

今すぐじゃ怪しまれる、それに、突然割り込みをするにはそれなりの時間を見極めなくちゃいけない」

リヴァルはふむふむと言っているが、実際はまるで分かってはいない

レオンは作業を終えると、立ち上がって周りを見渡す

「ここにずっと居るのはまずいから…

リヴァル、クロード達の所に行こう」

リヴァルは大きく頷いた




---銀河連邦 地球中央軍事司令塔 ロビー---


「すいません、クロード・C・ケニー少佐お願いします」

受け付けはいつもの女性ではなく、ごっつい軍人であった

「なんだ?少佐に何か用があるのか?レオン博士」

わざわざあまり着ない白衣、そして眼鏡を装着、同様にリヴァルにも同じ装備をしてもらった

これで十分研究者と助手というのがよく分かる

「少佐から呼ばれていてね」

軍人は何の疑いもなく、居場所とIDを渡してくれた

リヴァルは小声でやりましたねと呟く、軍人がこちらを振り向いて睨み付けているのは見なかった事にする




---銀河連邦 地球中央軍事司令塔 地下19階格納庫---



「やっほ、レナ」

突然肩を叩かれたレナは驚いて体を弾ませた

「れ、レオン!?な、なんでここに?」

リヴァルも頭を下げると、レオンは事情を話す


「あぁー確かに難しいよね

んーここに居るのは別に構わないと思うけど…

あ…」

レナはほったらかしにしていたオペレートの練習を慌てて始める

するとどこからともなくクロードの声が響いてきた

『レナ?ん…あぁ

レオン達来てたんだ』

レオンは周りを見渡し、大きすぎて分からなかったが、目の前にメカバインが立っているのに気が付く

それはまるで巨人が立ってるように見えた



リヴァルはただただ呆然と立ち尽くしている

「久しぶりに見たな…」

真っ白で、滑らかな曲線のボディー

そして戦艦とは違い、まるで神をも思わせる人の形をしたメカバイン

その美しさにレオンは見とれる

「やっぱりプリシスの言うこともよく分かるな…」

そんな事を言っている間にクロードが操縦席から降りてきた

レナはオペレートの方法を数度読み返しながら頭を捻っている

「乗ってみてどうだった?」

レオンがこちらに来たクロードに問う、レオンの表情は製作者としての誇らしげな表情でいた

「結構難しいね…

ここで動かす訳にはいかないから…一応どういう感じかだけは体に見につけてきたつもりだよ」

ここ数日、クロードは操縦席の中で感覚を頭の中で覚え、後は動かすだけなのである

レナも同様に、発進後、起動後、戦闘中どのようなサポートをすればいいか悩んでいるのであった

それでもやはり実戦になるとどうなるかは分からない

クロードとレナは不安を隠しきれていなかった

模擬戦闘ではなく一気に本線なのだ

それも能力が未知数の敵と…

「レオン…何か作った身として、何か色々教えてくれないかい?

それと、最後に整備をしてもらいたいんだ」

プリシスがいればなんなくこなすのだろうが、一応はつき合わされていただけの身だ

レオン自体も不安でいっぱいであった

整備すらまともにできるか不安である

「ここに来たけど…休めそうにないな…」

リヴァルはレオンの表情を見て心配でしょうがない様子で見つめる

「れ、レオン…わ、私も…お手伝いしたいです」

レオンはその言葉でにっこりと笑うと、レナのほうを見る

「レナごめん、リヴァルにオペレート教えてくれないかい?」

レナは喜んで引き受ける

自分の責任が半減するのだ

気が少し気が楽になったのか、レナは笑みを浮かべてリヴァルに教えていた

「よし…レオン、僕達も始めよう」

レオンはクロードの言葉に頷いてメカバインの元へ向かった




---数時間後---


「リヴァル覚えるの早いわねー

私追い抜かれそうー」

レナがリヴァルの覚えの早さに驚きが隠せなかった

レナはしっかりと手ごたえを感じていた

二人いれば出来るのではないかと…

そう思えてきたのだ

オペレーションが主にやることは、ナビゲートしながら機体を外へ送り出す事と

戦闘中に破損箇所、エネルギー残量などの戦闘サポートである

それをやる立場としてはメカバイン自体を誰よりも知っていなければならない

通常戦艦の場合

数百人が一斉に動き、発進させる

やはり戦艦となると規模が違うのでそれなりに膨大ではあるが、

その分オペレートする範囲がせまくなるのだ

だが…

今この状況は違う

戦艦は移動目的や戦闘なども様々で乗組員が行うが

今オペレートするロボットは事細かに詳細を調べ、考えなければならない

そして的確に判断する

戦艦もそれは同様ではあるが、今ロボットのオペレーター初めての二人がしっかりとサポート出来るかが問題なのである

やはり二人の不安は変わらないままであった



「あのさ…レオン」

クロードが操縦席で周りを見渡しながら下のレオンに問う

「え?何?」

クロードは少し困ったように構える

「クロード・C・ケニー、カルナスノヴァ!出ます!

とか言ったほうがいいのかな?」

レオンは少し口をあんぐり開けていたが、からりとした表情で言う

「戦艦ではどうしてるの?」

クロードが頭だけ動かしてうつむく

「一応、大型戦艦フォースが出るとしたら…

オペレーターがフォース第何パルスから発進しますとか言うね…

僕の場合は最初に軌道の確保とか言うけど…

やっぱりこれって個人の見計らいとタイミングで発進するから…そういうのいるのかなーって思って」

レオンは好きにしたらー?と言っている

クロードはんーっと言って数分悩んだあげく

「その時の気分にする」

という結果になった

「あ、それでさクロード

武器はどうする?」

レオンは一番重要な事を思い出し、焦りながらクロードに問う

「あー…ロボット用って製造してないんだよね…」

レオンは一応大丈夫と言ってレナに声をかける

「ぁ、あれね

うん、分かった」

そう言うとレナは、ぱぱっとキーを叩き、メカバインの隣の倉庫を開ける

「一応プリシスが重兵器をいくつか作っておいてくれたんだ

一応…剣もあるけど…

ロボット操縦じゃあまり操作しずらくて厄介かもね」

クロードはあまりのプリシスの準備の使用に驚いていた

「ここまで作っているとは…さすがプリシスだね」

レオンは僕も!を連呼しながらその場で拳で空を切る

「ねぇ、クロード

ちょっとだけ格闘技の稽古つけてくれないかな?」

そう言うと同時に操縦席が開いてクロードが降りて来た

「いいよレオン

でも、手加減はしないよ?」

笑みを浮かべるレオン、何度も手合わせしてきたが、二人とも本気でやらないと満足がいかないのである

「程々にね〜」

レナが笑って二人に忠告すると、またリヴァルに教え始める



「いくよ…」

レオンがまず踏み出す

地面を蹴って、左手でクロードの横腹を狙うが、クロードはさっと避け、

その左手を右手で軽くあてがい地面へと押し出す

バランスを少し崩しながら前のめりの状態で地面へと向かうレオン

その体勢のままクロードからの右足のダイレクトアタックを右手で掴んで体をひるがえした

キュッと地面でつま先を回転させ、クロードに向き合うと、そのまま反動でクロードに迫っていく

レオンの右ストレートを軽くさわって避け、左手も体をひねって避けていく

その隙をつかんでクロードは下から足を振り上げた

通常なら腹にめり込むはずが、レオンはクロードの両肩を土台に空中へと飛び上がっていた

それを見計らい、後ろ蹴りを落ちてくる箇所に向けて振るう


ズガン


確かにヒットはしたものの、レオンは手の甲で受け止め、バランスを崩しながらも体勢を立て直す

それを見過ごすわけにもいかず、クロードはレオンがしっかり体勢を立て直すまえに右手を繰り出す

レオンはなんとかパシパシンといいながら両手ではじき、地面に足をつける

そこへクロードが足掛けをした

少し飛び上がったのだろうが、レオンはそのまま体勢を崩して背中から倒れ込んだ

「ふぅ…やっぱりクロードは強いや

もう一回!」


こうして最後の日の夜は明けていった






*こめんと*


アポトロディウスと、ヴァンを迎え撃つために、短い間でありながらも頑張っている4人

レナは戦艦と違うオペレーションのやり方に戸惑いながらもリヴァルに教えていく

クロードは実戦のためにイメージトレーニングなどを行う

それでもほとんど未経験な事への挑戦に戸惑っていた

そして最後の夜は明けていく

というような感じで、皆さん頑張っていますね

実際戦艦とかメカバインとか私も操縦してみたいですねー!

まぁ、やっぱりそれなりの資格などがいるんでしょうが…

というかクロードがその「勇者君」で(クロードはカルナスノヴァと呼んでいる

アポトロディウスに対抗できるのでしょうか!

というか、あんなでかいのに対抗するにはそれしかないんですがね…

そして、レオンはあんな後衛だったのに、今じゃどっちも出来るわけです!

頑張れ皆!!!(無責任







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