STAR OCEAN Sanctions of God







第三章 






第三部





「ぐ…ぅ…」

先程のクロードとヴァンの最高の一撃を交えた際、力負けしてしまい

パラパラと砂埃が舞い、最上階の壁に埋もれ、荒い息を吐くクロード

ヴァンはその光景を見据えながら刀を鞘にしまい、どこか寂しげに背を向けた

「その程度の奴だったとはな…

呆れちまったぞクロード」

クロードはゆっくりと立ち上がる、ふらつきながらも額から滴れる血を拭い、折れた剣を構える

「へ…威勢はやはりいいようだが…

所詮お前は人間だ…

それにその折れた剣でどう戦うってんだ?」

クロードは表情を変えずに呟く


「剣は折れても…僕の心が折れない限り、お前の好き勝手にはさせない!!!」


「ほぉ…言うじゃねぇか…」

ヴァンが再び刀を抜き、クロードに向ける


「やめてぇ!!!」


階段から駆け上がってきて、叫ぶ女性

その女性はクロードに駆け寄って行った

「レナ…来るな」

クロードは首を横に振り、歯を食いしばる

レナは今の状況を確認し、途中で立ち止まり、後ろに下がっていく

「危なかったなクロード

あと少しで女に助けられて惨めな姿になるとこだったな」

クロードが最上階で戦っていると聞いて仕事を投げ出し、ここまで来たレナ

だが、今はただ決着が付くのを下がりながら見つめるだけ

すぐそこにいる恋人に手を差し伸べられないのを悔しがった

「次の一撃で終わりだ…!!!」

ヴァンはその心意気のにんまりと笑って、刀を振り下ろす


「いくぜぇぇええッ!!!!」

「うぉぉぉおおおおおおッ!!!!」






ズガァァアアアアアアアンッッッ!!!!!!







最上階が既に屋上のように成り果て、吹き飛んだ物々は下に落下していく

そこで交わる二人の姿があった

「くぁ…かは…」

レナは瞳を見開き、口を手で覆う

ヴァンはにやりと笑ってクロードの胸に刀を貫通させている

ゆっくりと刀を引き抜き、血を飛ばし、鞘にしまう


く、クロードォォオオッッ!!!!




「やはりお前は凄い奴だったぜ…

折れた剣でここまで俺に傷を負わせるとはな…」

ヴァンもそこで膝をついて、空を見上げる

腹の横から胸まで一閃で切られ、そこから血を流していくヴァン

レナはクロードを抱えて興奮状態でありながらも治癒をかけていく

「駄目だよ!クロード!!!まだまだ…!!まだ色々…!!!一緒に…!!」

クロードは薄っすらと瞳を開けて微笑む

「大丈夫だ…急所は外れてる…

それにレナの温かさが体中に満ちてるから…大丈夫」

レナは安堵の笑みを浮かべ、クロードの首にしがみ付いた

「ヴァン…なんで急所を…外したんだ?」

ヴァンは立ち上がり様にクロードを横目で見ると、苦笑いした

「そんな状態の奴を殺すってのは俺のポリシーに反する

それだけだ」

そう言って、歩みを進めていくヴァン

そして手を上に上げる

「5日だ」

クロードは首を傾げる

「え…?」

ヴァンはこちらを向いてにんまりと笑う

「お前らに少しだけ抵抗する時間をやるよ

5日間だけ俺達は何もしないことを誓ってやる

ま…精々頑張ることだな」

クロードはその言葉により頭をひねり、叫ぶ

「どうして…!!!そんなことを!!…くッ」

レナは心配そうに叫ぶクロードを呼び止める

「そうだな…気まぐれだ

それに…もう一度万全でお前と勝負したいからな」

そう言うと、ヴァンとアポトロディウスは消え去ってしまった







「あれ?アポトロディウスが…」

レオンが静かになった上空を見ると、そこにその悪魔はいなくなっていた

リヴァルも隣で首を傾げ、他の一般人、そして焦る軍人達も皆いぶかしそうにしている

その後一般市民で変な妄想だったとか、夢だったとか言う者もいたが…


五日でこの地を去ることをせざるを得なかった



---銀河連邦 地球中央軍事最高司令塔---


相当大きなホール、そこで顔を連ねる上層の者達、暗がりの中、クロードは立ち尽くしていた

「ケニー少佐…これはどういう事ですかな?」

ほかの上の軍人は全くと言っていいほど納得のないかないものになっていた

謎の高エネルギー体、ヴァンと言う人物、シールドを凄まじい勢いで破壊する化け物

それは今の銀河連邦ではほとんで手に負えない、そして考えたこともない出来事だったのだ

なにより…

一番の目的がクロード達の抹殺

「ケニー少佐…あなた達の面倒まで見切れませんぞ?

それに、あまりにも襲ってきたもの達の考えが作り話にしか聞こえん

説明してもらえるかね?」

レナに支えられながら解説席にまわるクロード

傷は塞がり、精神的にも落ち着いた状態で口を開く

「一番の発端は前回独断で行ったエディフィス、そこを管理するマザーコンピュータによるものと思われます」

数人の軍人が立ち上がって眉を潜める

「ということは少佐、それはあなたの責任ではないのですか!?

今は国民の自由主義問題や国家予算案で忙しいというのに…

そんな遊びごとに付き合ってられるか!!

どうして親子揃ってそういう危ない物を持ち込んで来るのかね!?」

クロードは目の色を変えて叫ぶ


「僕の失態をとやかく言うのは構いませんが!!

父さんのやってきたことを否定するような言い方は止めていただけませんか!!」



その言葉に反論しようとする軍人達を静め、立ち上がる一人の男

その瞳は大変凛々しいものであった

「ケニー少佐…

あなたの父上の功績は我々は重々理解している

そして前回のエディフィスもあなたのお仲間を助けるためであると聞く

確かに父上を失ったり、色々と問題を起こしようではあるが、君は十分に優秀だ

父上を超える勢いで様々な任務をこなしているも知っている

納得や理解の出来ない者はいるが、私は君の功績を十分認めているのは確かだ

こちらも色々と地球内での問題もあるが、地球の危機、君が言うのだ

だから今回の事件をしっかりと聞かせてもらいたい」

クロードはどこか落ち着きを取り戻し、説明を始める

「ギルバート議長からのお言葉…

深く感謝いたします

お話にもありましたように、エディフィスでの事件が発端です

そのエディフィスを管理しているマザーを倒した僕達はそのまま帰還したのですが、

なんらかの形でマザーは再生を遂げ、エディフィスの管理とだけに成されていたマザーは宇宙を見出し

自分の管理下に置こうと考えているのです」

そこで疑問を抱いた人々が手を挙げる

「宇宙を管理下に置くというのは私達でも無理だというのに…馬鹿げている…

それと、今回現れた化け物と、ヴァンという男とどのような関係が?」

クロードは頷いて口を開く

「はい、彼らがマザーから作られた理由、元々はエディフィスだけの管理だったのでしょうが

宇宙を管理しようとするマザーが他の星々の文明を滅ぼそうと考えているからだと考えられます」

またしても手をあげる人々

「少し規模が大きすぎてよく分からないのだが…

本当にそれを信じていいのだろうな?」

クロードはやはりどこか難しそうな顔をして答える

「僕も突然の出来事で未だ完全に理解出来ないところもあります

ですが、今回シールドを破ろうとし、僕を殺そうとした者達は確実に地球の文明を破壊しようとするだけです」

呆れた軍人はあくびをしながら発言する

「そのような非現実的な事を考えるより先に地球内の議論を優先しませんかね?」

あるものはそうだそうだと賛成し、あるものは緊急事態に何を考えていると反対する

またしてもそれを静める議長

「現に一般市民が被害に合いそうになっているのです

私達が逃げ隠れしてなんの意味があるというのですか

…そしてケニー少佐

私達は何をすればよろしいのかな?」

クロードは深々と頭を下げて、口を開く

「ギルバート議長ありがとうございます

まず5日間の有余があります

その間に一般市民を全員避難させてください」

またしても反論するものが立ち上がる

「それを軍でやるのか!?その避難場所は!?生活費用は!?食料はどうする!

どれだけ我々が負担するというのだ!馬鹿馬鹿しいにも程がある!!

そんなもの公共団体にやらせておけばいいのだ!!

第一!!信用できんのだよ!そいつらが降りてこないで無駄骨になったらどう責任を取るつもりだ!!」

議長が再び立ち上がってその者に顔を向ける

「それを軍がやらないでどうする!

国民を守るための軍だ

余計な事に使っているよりよっぽどましだとは思わんか?

無駄骨では決してないはずだ

降りてこないことが一番いいわけだが、降りてきたらどうしようもない

責任は私が取ろう」

ホール内がざわめき、やはり七光りだのなんだのを言う者もいる

「その者達が降りてきたらどうするつもりなんだね?ケニー少佐!

まさかそちらも軍でやるおつもりじゃないでしょうな!」

クロードは俯きながらも考え、首を横に振る

「軍であの化け物に勝つには試作段階のフェイズキャノンを打つしか方法がないので…

僕がやります」

より議会の中でざわめきが隠せなくなってきた

「フェイズキャノンは試作段階の時点でこの地球内で使えないから、それは理解出来るのだが

まさか、あの敵をケニー少佐だけで倒すおつもりかな?」

それに頷くクロード、笑いとざわめき、ホールは一色単になった

それはいつのまにか怒りに変わり始める

「軍で避難させるというのに!!!どうして一番重要な部分がそれなのですかな!!?

倒せなくては意味がないのですよ!!?」

クロードは重々承知で答える


「分かっております!!ですが、必ず!!!必ず食い止めて見せます!!!」


馬鹿にするな!何をふざけた事を!などという言葉が行き交いながらも議長が頷く

「いいだろう…ケニー少佐の事だ

考えがあるのだろう?」

議長の言葉でより慌しくなる者が多くなっていった

「ぎ、議長…!甘やかしてはいけません!そんな一軍人だけにそのような事を任せられません!!」

クロードは少しカチンとくるが、議長が言い返す

「最早ケニー少佐は父という物から離れ、ここまで上り詰めてきたのだ!!

一番の功績を称える者を信頼しないでどうするのだ!!!」

無理やりなやり方だと言う者もいるが、クロードを信頼する者も口を揃える

「いいでしょう!!皆さん!!ケニー少佐に任せてみませんか!

気に食わないならケニー少佐の任務の失敗の後に倒してでも見せてください!!」

それで一応の肩はついたが、クロードはもう一つの願いを問う

「もし…倒した後、よろしければ軍を動かしてエディフィスへ向かわせていただけませんでしょうか」

さすがにそれには議長も首を横に振る

「今この状況で、そこまで決めることは不可能だ

すまないが、後にしてくれまいか」

この後も続く口論や色々な話を交え

こうして半日に及ぶ議会は終了し、クロードは晴れて勝利を勝ち取った




「ぎ、ギルバート議長!こ、今回は色々と大変ありがとうございました!」

議会の終わった通路でクロードは深々と頭を下げていた

議長は頷いて笑みを浮かべて返答する

「昔の君とは思えない大胆で物凄い行動

それに私は感服したのだ

父上もさぞお喜びになる

失敗しないように頑張るのだぞ」

クロードは頷いてまた頭を大きく下げた


「ぎ、ギルバート議長!

大変恐縮ながら、今ひとつお願いが…」

「なんだ?」

「あの鍵をお貸しくださいませんか?」

「そういう…わけか…いいだろう」

「ありがとうございます!!」








*こめんと*


有余をもらった地球

その中で長い議会お疲れ様クロード!

最高責任者が認め、応戦してくれてますが

他の上層部は何かと地球の議会優先

今の政治でもこのような事を言えるかと思います

はてされ、まさか一人では戦わないだろうクロード

それでもレオン、リヴァル、レナを入れても4人

戦闘出来ないリヴァルやレナがいるなかどうするんだクロード

試作段階のフェイズキャノンでなくては倒せないアポトロディス

そして、ヴァン

はてさてこの後どうなりますやらー

そしてクロードが借りた鍵とは?

それでは!皆頑張って戦ってね!(無責任



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