STAR OCEAN Sanctions of God







第一、二章 






〜番外編〜 セリーヌ編


「クリス様…セリーヌ様はまだ帰って来られないのですか!?」

兵士一名が意気淡々とクリスに訴えかける

クリスは微笑して右手をプラプラとさせた

「いいじゃないか…セリーヌのやりたいようにやらせておけば…」

兵士は困ったように頭をかいて頭を上げる

「ですがクリス様…王女なりの稽古やお習い事がたまってしまっていまして…」

クリスは一度ため息をつくと遠くの空を見ながら笑みを零す

「僕はセリーヌの自由に生きる姿が好きなんだ」

兵士も少し呆れ気味で下がって行った

「と…いっても…一ヶ月帰ってこないのは寂しいものだな…

何かあったのではないかと…

考えてもきりがない…か」









---ラスガス洞穴---

最近新たに見つかったラスガス山脈付近の天然洞穴

クロス洞穴より遥かに広く、壮大な面積はセリーヌ・ジュレスにとって胸をときめかせる格好の場所なのだった

「んもぉー!大興奮ですわ!」

洞穴でセリーヌ以外あまり人が散策に来ていないのにも理由がある


敵が強い


今やモンスターなどはいなのだが、それと同等ほどの魔族が未だ存在するのである

双頭竜などというそれほど恐ろしい敵はいないが…

「この程度の敵で腰を引くトレジャーハンターなんてチャンチャラおかしいですわ…!!」

両手をプラプラさせながらツカツカと歩いていくセリーヌ


「さぁーて…お目当てのお宝はどこにあるのか…分かりませんわね」


この洞窟を見つけ、挑んできた冒険者の記録が何千年ぶりかに見つかったらしく

それがきっかけでこの洞窟が見つかった

見つからなかった理由としては、いつののころからか土砂崩れなどで入り口が閉ざされてしまったことから始まる

その冒険者が言うには、その洞窟のどこかに色々な宝を隠したと記しているらしい

わざわざなぜ記すはよく分からないが、未来の冒険者を楽しませるためであろう

冒険者が残した財宝としては


「伝説の矛」「黄金の巨大崇杯」「愛のエナジーパール」などなど…

そんな感じでクロスで発表していた訳である

当初数百といたトレジャーハンターはいつのまにか数人にまで減少し、皆諦めかけているころであった


エナジーアロー…!!


ズガァッ!!


「全く…未開の地になるとこうもワクワクすものなのですわね」

高鳴る鼓動を抑えながら、崩れた入り口を破壊していくセリーヌ

「見つけるまでが興奮の連続ですし…楽しんでいきましょう」

最近洞窟をずっと回っているため独り言が多くなったセリーヌ

やはり一ヶ月もすると…人が恋しくなってくる訳で…

「あふぅ…クリスのためにと思って愛のエナジーパールを見つけているというのに…

そのクリス本人を困らせるのは胸が痛みますわね…」

愛のエナジーパール

いかにも玩具売り場で売っていそうな雰囲気だが、伝説では…

『願った相手と永遠に結ばれる』という

流れ星に願い事をすれば叶うなどとさほど変わらない気がするが、

セリーヌにはそれはあまり問題ではないのだ

問題は…


気持ち


永遠に結ばれるというお宝をわざわざ持ってきたセリーヌ

永遠に結ばれたいという気持ちはしっかりとクリスに届けばいいのだった



「はぁ…ここにはございませんわね…」

広い空洞に出たわけだが、さっぱり何もありはしない

それでもなければないほどセリーヌは燃える

少し小走りで逆走していった













「……さて…次はここにしますか…」

上空で薄っすらと笑う…リヴァル

手をクロス城に向けると数回に分けて闇の波動を打ち込んだ



ズガァァァアンッッ!!!!



クロスは大きな地響きを立て、どんどんと崩壊していった

人々は突然の出来事に逃げ惑いながら外へ逃げようとするが…

何かどす黒いオーラでクロスは包まれ、逃げることさえ許されなかった

建物の瓦礫の下敷きになる人や燃えた民家から這えずり回りながら出て行く姿

リヴァルはその様子に笑みを浮かべる


「クリス様はどこにいかれた!!!」

地響きでだんだんと崩れ、燃え始める城内で、兵士が大掛かりで捜索しているが見つからない

兵士は焦りを覚えながらもまた捜索を始める


「ぐぁぁ!」

「ぐへぁ!!」

「話になりませんね」

地上に降り立ったリヴァルは次々と向かってくる戦闘兵士を消していく

じっくりと辺りを見渡しながらエクスペルにいる英雄達を見つけようとするリヴァル

どこかつまらなそうであった


「おい!!!クリス様が既に城を出て非難されたそうだぞ!!!」

一人の兵士が城内を走りながら叫んでいく

それを聞きつけ、兵士達は城内を去っていった

「…ふぅ…遅いな…セリーヌ」

兵士の兜を外し、金髪の髪をなびかせるクリス

クリスはいつも一緒にいる自分の部屋へと向かった








ズゴゴゴゴゴッ!!!


「ここもちが…とッ!!な、なんですの!?この揺れは!!」

洞窟内でパラパラと天井から音がするとともに目の前の壁が大きくひびが入り、崩れて行く

そこから伺えるように、小さな入り口の先に空洞があるのが見えた

「こ、こんなところに入り口が!?」

驚きを隠せないまま腰を低くしてそこを通っていくセリーヌ

そこは…

「凄い…ですわ…」

なんとも神秘的な場所…

今まで通ってきた自然洞窟のでこぼこは存在せず、ただそこは人為的に

まるでギリシャを思わせるような風潮

そこの真ん中に宝らしきものが優雅に、悠著に置かれていた

「ついに…見つけましたわ…」

一ヶ月さ迷ったあげく、たまたま見つかった財宝の数々

手に取って笑みを浮かべるが、セリーヌはここがそんな甘い場所でないことは重々分かっていた



グガァッ!!!



目の前で見守るようにいた石で出来たドラゴンとガーゴイル2体

それが突然暴れだした

「クロス洞穴の頃が懐かしいですわねー!」

そんな余裕を見せながら既に唱える紋章術

「昔の私と比べたら大間違いでしてよ!!」

攻撃を交わすとともに空中に大きく飛び上がった

エディフィスではあまり空中浮遊が満足のいくような感じではなかった

だが、今ではセリーヌは完璧に風を操り、自然を超越した力を身につけている

攻撃も全て飛行しながら避けていく

上空を舞いながら360度紋章術を放つ姿

まるでそれは人の出来る戦いでなくなっていた

長い詠唱の必要な紋章術を使うことなく全ての敵を打ち払った


「楽勝ーでございますわね!」

ガッツポーズと共にお宝の元へ走っていく

「これ、ぜーんぶ!!私の物ですわぁ!!!」

財宝を抱える分だけ抱えこみ、セリーヌはクロスに戻って行った








ズオォオオッ!!!





「な、何が起こったというの…!!」

クロスを囲む暗黒のオーラ、セリーヌは抱えていた財宝をそのまま落とし、全速力で入り口へと向かった


クロスを覆い尽くす暗黒の炎、ほとんどの人々は死に絶え、生きていてももがき苦しむ一方

リヴァルは噴水のところで座って空を見上げていた

「つまらないですね…」



ズガァァアンッッ!!!



「…許さないですわ…」

リヴァルは目を細めると同時にセリーヌの存在に気付き、姿を変えた

「よくあのオーラを破れましたね…さすがといううべきですか」

セリーヌは怒りに満ち溢れていた

勿論この事態を作ったリヴァルに

そして…トレジャーハントで宝に目がくらんでいた自分に



「あんなうすっちぃオーラの結界で何を言ってるんですの…

まず…なぜリヴァルがここにいるかは問いませんわ…

ただ…愛する町をこの様な形にしたあなたを…絶対に許しませんわよ!!!!

ですけど…

私の愛する夫と会う事が最優先…

邪魔をするなら相手をしますわよ…?」



リヴァルはニヤリと笑うと、急に姿を消した

「…!!ど、どこに…!!逃げた訳ではございませんわよね…?」

また独り言を言っているが、セリーヌは既に詠唱に入っていた

そして一歩手でもクリスの元へ向かうために城へ向かって走っていく

「隙を見せてはいけませんね」

セリーヌが気が付いたころには腹部に波動を打ち込もうとするリヴァル

「お死になさい」

確実に捕らえたとおもっていたリヴァルだが、その攻撃は外れる

気が付けば遠くの先にセリーヌが空中浮遊しながら城へ向かっていた

「あなたも使えるのですね…面白いです」

その場から消えるとともにリヴァルはセリーヌの前へ現れた

「倒さなくちゃ…ゆっくり会いにいけそうにございませんわね」

セリーヌは急に止まって相当な早さで詠唱する


サンダーストーム!!!!


ズガァァン!!!


相当な数の雷がリヴァルに降り注ぐ

だが、それは全て華麗に避けていくリヴァル

セリーヌはそこで攻撃をやめるはずもなく、ひたすら的確に打ち込んでいく

「中々…お強いですね…

ですが…弱点は既に解析済みです

私には勝てませんよ?」

そう言うとともに手から無数の波動をセリーヌに向かって打ち込む

「あら…私に弱点なんてございませんでしてよ?」

余裕な表情でありながらも曇り始める瞳

波動を避けるもだんだんと長くなるにつれ、かすっていく

「きりが…ないですわね…」

リヴァルはいつまで波動を打ち続けるつもりか、セリーヌは息が切れ始めた

「弱点…その魔法は詠唱しなくてはいけないことです!

私はそのような神や自然との許可や契約などはいりませんからね!!!」

セリーヌの体中には既に波動の弾がいくつも貫通していながらも薄っすらと笑う

「…確かに…紋章術は契約や許可などのために詠唱を行いますわ…

ですけど…私は…違いますわ!!!!

詠唱など…そんなもの私のオリジナルなら元々必要ありませんわ

せっかく手加減をしてあげていたのに…後で後悔しても遅いのですわよ!!!」

セリーヌはゆらりと姿を消すとともにリヴァルの背後についた

右手には雷、左手には炎を包む


グランティモーガッッ!!!!!


ズガァァッッ!!!


「ぐ、ぐぁぁあ!!!」

リヴァルは雷撃に包まれた炎の巨大な火柱の中で散っていった



「口だけで…他愛も…ないです…わ…」

そのままフラリと地面に倒れ込むセリーヌ

先程のリヴァルの攻撃で数箇所が貫通し、生々しくも血が溢れていた

瞳を閉じようとするセリーヌだが、燃え盛る炎を見て…

「このまま…死ぬの…でしたら…

せめて…」

精神的にテレポーテーションや空中浮遊は既に使えない

城の門の前に立ち、足を引きずりながら城内へ入ろうとすると、倒れていた兵士が起き上がる

「セリーヌ…様…

クリス様から…伝言を…」

セリーヌは溢れる涙をこらえて首を横に振る

「それじゃぁ…クリスが…私と

このまま会えないみたいじゃないですの…

嫌ですわよ」

兵士はその言葉を聞いて満面の笑みで見送った






ズゴォオオッッ!!!






「クリ…ス」

燃え盛る城内、次々と柱や壁が崩れいていく

なぜか…その下敷きになることなくクリスの元へ向かう

火の粉がセリーヌの肌を容赦なく襲うが、力を振り絞って周りを紋章術で凍らしていく



「セリーヌ!!」

クリスの部屋へ飛び込んできたセリーヌに、かけよって抱きかかえる

「やっと会えましたわ…」

笑みをこぼすセリーヌ

クリスは涙を流し、想いを告げる

「セリーヌ…愛しかった…会いたかった…

ごめん…何回か…

セリーヌがここにこないことを考えてしまった!!!

でも…来てくれて…僕は…嬉しいよ…独りで死ぬのもあれだから…ね」

セリーヌ自体、相当煙を吸い込んでしまっため、ほとんど意識がない状態であった

だが…

「何か…胸に…」

胸の間に違和感を感じたセリーヌはゆっくりと胸の間に手を入れる

「愛の…エナジーパール…」

抱えていた際に紛れたのかなんなのか…

取り出した愛のエナジーパールについてクリスに話す

「あぁー…セリーヌ…

そう…だったんだ…

セリーヌ…セリーヌ……」

愛しくてたまらないセリーヌを抱きしめながらもその宝を二人で見つめる

流れ星のかけらのように…

持っていれば叶うかどうかは…分からないが…

二人の想いを聞いてくれた…


永遠に結ばれる…このままこの世界で結ばれていたかったですわ…

でも…こんな永遠もありなんですわね…





きっとそれが…





永遠の愛










その日


クロス城は崩壊し、城下町と共にその姿を消して行った









*こめんと*

り、リヴァルテメェ!!!!(おぃ

そろそろリヴァルが憎らしくなってくる頃です

今回はセリーヌさんの話

ちょっといくつかに区切ろうと思ったんですが、番外編なので一つでおわす

そういうことでちょっと物足りない部分があると思いますが…

やっぱりセリーヌさんということで…

トレジャーハントをさせようとしました

永遠に結ばれるお宝をゲットした矢先

クロスにリヴァルが…

激戦らしきものの末、クリスの元へ…

セリーヌさぁん!!!あなたは私の心のナカダァ!!!!(おい

この話のまとめはやっぱり…愛…なんですかねぇ

それでは!皆頑張って愛してやって!(無責任



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