STAR OCEAN Sanctions of God







第二.五章 






オペラ&エルネスト編




---テトラジェネス 国際宇宙空港 ロビー---


「お帰りなさない…エル」

オペラがエルネストに向かって微笑む

「あぁ…」

エルネストは少しだけ口を緩めると、オペラが用意していた高級船に乗り込みオペラと共にその場を後にした

「今回はどうだったの?」

オペラが嬉しそうにエルネストに尋ねる

エルネストは色々な資料をオペラに見せ始めた

「今回は…結構楽しめた」

どこか機嫌がよさそうなエルネスト、オペラはエルネストの腕に引っ付く

エルネストがどこか微笑みを浮かべる

「ほんとに…目を放したらいつも書置きしていくだけんだから…」

エルネストが安心した面持ちで息をそっとはき、唇を寄せた

「んっ…んむ」

オペラが少し楽しむようにエルネストの首に手を回し

エルネストが味わう…

「ん……」

エルネストはそのまま唇を離すと、オペラを見つめる

「エル…」

オペラはそのままのノリで額と額をごつんとさせた

「ぐ!!」

「うぐ!」

エルネストとオペラが同時に唸る

だが二人に笑みは耐えない

「おい…何回言えば気が済むんだ…

上の目が潰れるだろうが…」

上品に笑いながらオペラは席に戻って再び問う

「今回の話聞かせてよ…」

エルネストは遠くを見つめるかのように目を細めた

「あぁ…」













---未開惑星---



「ん、今回は運がいいようだな」

小型の宇宙船でその星の大気、温度などを計測したところ

生命が存在し、人型の営みがああることが分かった

この場合文明が始まったばかりという可能性もあるが…

古代文明だけでなく、星にも様々な特性がある…

エルネストはそんな部分も研究するのが楽しみであった

「面白い文明に出会えるといいんだが…」

 


ブゥゥン…


「…ん、荒野…か」

宇宙船は星の周りを回らせながら他にも色々と計測する

その間エルネスト本人は人気のない場所へ転送された

「中々だな…」

見渡す限りの荒野…エルネストは空気をある程度吸った後に歩き出す

「まずは…探索だな」

と鳥が羽ばたくと共にエルネストが振り返る

「す、すいません!!!た、助けてください!!!」

エルネストが振り向くとともに、少女がエルネストに飛びついてきた

あまり現地の人と関わりを持ちたくないエルネストだが…

「な、何があった!」

とっさに問うが、答えてもらう必要はなくなった

「げへへ!!なんだ!?お前!!!」

多人数で剣を持ち、服装はあまり目立たないような地味な服

エルネストは腰からムチを取り出し、しならせる

「盗賊か…ついてないな」

少女ががたがた震えながらもエルネストを見上げる

「さっきあなたは光と共に来られました!

貴方は神様なのでしょう!どうか!どうかお助けください!」

エルネストはため息をついて、C氏の体験談を思い出した

光の勇者様…エルネストはどこか目をぱちくりさせた後…

「これはこれで迷惑だな…」

呟いたのを少女は聞き逃し頭を傾げている

「あの…」

エルネストはその少女がそう言う間に戦闘態勢に入っていた

盗賊は全員円状に囲み、じりじりと寄ってくる

戦況は良くはない…

「話は後だ…」

エルネストがそう言うと共に盗賊達が薄ら笑う

「そんな鞭一つで何ができるってんだ!?」

がははと下品に笑う姿はなんとも憎たらしいものだった

エルネストはため息を付いた後に気を込める

「これは俺の体の一部だ」

よりいっそう笑い始める盗賊は数秒で肩が付いた





「あ、ありがとうございます!神様!」

エルネストはC氏の気持ちに共感しながらも、その神様に否定はしなかった

こういう事が今までになかった訳ではない…

「あぁ…一応エルネストという名がある…」

少女は数度頷いて目を輝かせた

「エルネスト様ですね!!」

目の輝きから目を反らしながらこれからの事を考え始める

「やっかいな事にならなければいいが…」

と少女に聞こえないように呟くエルネスト

少女が不意にエルネストの腕を掴んだ

「村にご案内します!!!」

マズイ…エルネストは最悪の事態を考えながら…

村へ向かった

拒否をすればよかった?

それは色々と問題が多くなる…










---シランド村---



「ここが私の村です!」

自慢げに少女は言うが、その村は結構な具合で荒れていた

思った通りに荒野のど真ん中にある村で

水の供給がほとんどない様に感じられる

「随分と貧困な土地だな…」

その言葉で言葉を失う少女、エルネストは焦りながらも周りを見渡す

「雨は降らないのか?」

少女はゆっくりと頷く

「もう最近は全く…」

エルネストはため息をつくしかなかった

「それで、君の家はどこだ?」

何気なく言ってみるも、どこか哀れみの表情が出てしまった

顔を笑顔にしようと努力してみる

「あ、はぃ…最近親が開拓地に稼ぎに行ってしまいまして…」

エルネストは不憫に思わなかった…

どこにでもある話しだ…それに哀れみを持つと感情移入してしまう…

「ど、どうかなされましたか?」

エルネストは首を横に振り照りつける太陽を影越しに見つめた

「…フロル」

目の前にいるのは少し背の高い青年

どうやら少女に話しかけているようだった

「あ、エルネスト様!この人は私の幼馴染なんです!

アルフ…!あのね!この人神様でエルネスト様っていうの…!

きっとこの村を……?」

少女が見るに青年のその奥で家族が荷物を積み馬車を引いていた

少女の表情が一気に曇る

「もしかして…

開拓地に行っちゃうの?」

アルフはどこか目を反らしながら頷く

エルネストはただ黙って見ていた

「だ、だって…先祖代々続いた土地は捨てないって…

宣言したのは…

アルフのお父さんだよね?」

馬車から急かすような声が聞こえる

アルフが申し訳なさそうに頭を下げた

「ごめん…フロル…

雨が降らなくなったこの土地じゃもうやっていけないんだ…

お別れだけど…

絶対また会えるから…」

首を横にぶんぶんと振ってアルフに抱きつくフロル

涙を瞳いっぱい溜め込みフロルがアルフを見上げる


「こ、このエルネスト様がどうにかしてくれるよ!」


エルネストはただ目線を落とすだけ

エルネストの服装が神様の服装とはかけ離れていて…アルフは首を横にふる

フロルは涙を浮かべてそのまま地べたに座り込んだ

ガラガラガラ…

「私は…どうすれば…いいのですか…」

きっとそれはエルネストに問いているのだろうが、エルネストには答えようがなかった

一斉疎開をした村にはエルネストとフロルだけ…









しばらくフロルという少女とエルネストは共にいた

ただそこでエルネストとフロルが座り込んでいるだけである

照りつける太陽に水分が失われていく

「エルネスト様…大変ご無礼ですが…お願い事を聞いてもらってよろしいですか?」

このままフロルを見捨てるなど容易い

だが…なぜだかエルネストは…何か運命を感じていた

エルネストは頭を悩ませながら頷く

「ある程度の事はな…」

フロルはどこか喜んでエルネストに迫る

エルネストはどこか頬を赤らめた


「ここで私とエルネスト様とで国を作りませんか?」


エルネストは空を自在に飛んでいる鳥を見つめた

お…鳥か…


「は…?」


「ですから…私とエルネスト様だけで家庭を築こうかと…!」

エルネストは1分程固まっていたが、ようやく動きだす

考えた…ひたすら

ここで住めないから困っているのに…ん?

「それは…無理な訳だし…血迷ったのか?」

フロルがぼーっとした様子でうつむく

「すいません…何もかも嫌になってきてしまって…」

エルネストは決断するしかなかった









「も、もしだ…この村を再建するなら…水が必要だな?」

人がいないのだから村を再建などとは言わない…

まずは水と食料…

「そう…なりますね…」

フロルが虚ろな瞳で見つめてくる

エルネストの胸が少し痛む


ブゥゥン…


エルネストはどこか惜しげ惜しげで宇宙船に保管しておいた宝玉を転送させる

「す、凄いですね!パッと出てきましたね!!さすが神様です!

それで!これはなんというものなんですか!?」

フロルはおおはしゃぎでその珠を見つめた

元気になった少女にエルネストは微笑む

「ぁーっとだな…」

元々この宝玉はエディフィスのマザーから出てきたもので

あの惑星管理システムが持っていたというほどだから何か凄いことが起きそうなのは確かだ

だが、この宝玉はエルネストなりにSランクをつける程の代物

オーパーツの可能性も高い…

使うのには相当考えた

だが、状況的にこうでもしないとまずいという考えに至った訳だ

照りつける太陽で頭がどうにかなっていたのかもしれない…


「セフィラ…だ」


自ら付けた名ではあるが、その名はそれなりに気に入っていた

「セフィラ!!!なんて神々しいお名前なんでしょうか!!」

興奮のあまりにその宝玉にべたべた触りだした

「そ、それで…このセフィラはどのような意味が?

まさか、水が出るのですか!?」

エルネストは困った

この珠を解析したところ、未知な部分が多すぎるのだ

解析は不可能に近い…

玉ころがしぐらいか…?

どういう効果があるか分からない

だが、適当に答えた

エルネストはやはり頭がやられはじめていたようで…満面の笑み…

「その通りだ」

エルネストは水が出るはずがないのは分かっていたが

それはエルネストの願いでもあった

「す、凄いです!!!」



それからずっとフロルは水が出るように願い続ける

その間雨は一滴も降ることなく、ただひたすら日照りの下でフロルは願っていた

「…そろそろ頃合いだな…」

エルネストは別れを告げる事無く宇宙船に戻ろうとした

出来る事はやったのだから…

いや…オーパーツを出した時点で宇宙船にでも一緒に…

駄目だな…

一応最後に一言だけ問う

「なぁ…フロル…俺らちゃんと自己紹介していなかっただろう?

俺は…エルネスト・レヴィードだ」

フロルはにこやかに瞳を輝かせる

「また神々しいお名前で!!

私は…フロル・ダインと申します!」

エルネストは口を緩めて背を向ける

「いい名だ…

お前はきっとどんな困難も乗り切れるだろう」


そして去っていく

一応別れを告げぬまま消えたほうが神様らしいだろうというのと…

これ以上親密になるのは危険だったからだ


「と言いながら…俺も少しは自分勝手ではまたオペラに嫌われるな…」

エルネストはそのままテトラジェネスへ戻ることはなく

エルネストは宇宙船からフロルを見続け

盗賊が現れれば遠くに転送してやったりもした

水や食料がなくなれば転送してやる

相当未開惑星条約に引っかかるが、神の力と信じ込んだフロルにとっては

今更なんの問題もなかった








「それで?どうだったの?」

話を曖昧におわしたエルネストにオペラが迫る

エルネストが笑った

「水が湧き出てた

それにはさすがにびっくりした」

オペラは首を傾げる

「確かにそれはオーパーツだった…

願いを叶えてくれるとかっだたんじゃない…?」

エルネストは無精ひげをいじりながら煙草を口にする

「俺も一生持っていようと思ったものだったんだが…

あれから村に人が戻ってきて…悪い気はしなかったな…」

オペラが一息ついて微笑み

「良かったじゃない」

既に二人はオペラの自宅の部屋で話し込んでいて、ワインを傾けていた

「あぁ」











ズガァァァンッッ!!!!






「な、何!?」

物凄い爆音とともにオペラは立ち上がって、部屋へさっそうと走ってきた執事に振り向く

「オペラ様!大変でございます!!!一人の人間と化け物によってこの星が襲撃されています!」

突然の出来事で二人は焦りを感じ始めていたが、なんとか目線を合わせてオペラの自宅を後にした


「オペラ様!こちらです!!」

小型だが宇宙船が用意してあるエアーポートで、オペラがまず乗り込んでいく


ドガァン!!


執事は誘導しながら倒れてきた柱に足をはさんでしまった

「ぐぁあ!!!」

次々と倒れていく建物の柱

エルネストは見かねて鞭を振るう

「エル!!早く乗って!!!」

執事もエルネストに行くように促す

だが、エルネストは乗り込む事ができない

目の前の建物が崩れかけているのをなんとか鞭で支えていたからだ

「オペラ!!行け!!!俺に構うな!!!」

オペラは当たり前で宇宙船を降りようとするが…

「このまま二人一緒に建物の下になっていいのか!!早くしろ!!もうもたない!!!」

オペラはエルネストが言い出したら聞かない性格なのは重々承知で

涙ながらで宇宙船を出した

「エル…!エル…エルネストォ…!!!!」

上空に飛んだとともにその建物は崩れて行った

オペラは操縦レバーを強く握り締めながら外の風景を見つめた

「誰が…こんな酷いことを…」

どっかの宇宙海賊とかなのだろうか…

と…

そこにいたのは…


リヴァル…そして…


黒く、大きな化け物であった


「さぁ!!出てきなさい!!!12人の英雄よ!!」


そこで悟る

リヴァル達は私達の仲間が目当てなのだと…

許せない気持ちの反面

エクスペルの皆が心配になった

地球はなんとかなるだろうが…






待っててね…皆










*こめんと*

こ、この!!!り、リヴァルテメェ!!!!(おぃ

そろそろ本当にリヴァルが憎らしくなってくる頃です

久しぶりのエルネストの帰還

エルネストは前の星であったことをオペラに話す

なんとかなく分かる人は分かるのでしょうねー

ついでに言うと…

アルフの本名は

アルフ・アーリグリフだったりします

うわぁ…エルネスト様すげぇ…

と、なんとなく関連付けてみました

エディフィスからセフィラが出てきたというのは後々重要です

とにかく…

エルネスト様ぁあああ!!!!

またどっかの惑星で会えることを期待してます!!(無責任


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