STAR OCEAN Sanctions of God







第一、二章






〜番外編〜 ディアス編




---クロス---


「…遅かった…か」

ハーリーの港から見えた爆発と黒いオーラ

結構な速度で向かったわけだが、着いた時には城が沈み始めていた頃であった

セリーヌが今無事かは分からないが

ディアスはクロス城下や城を散策するつもりはない様子で、ただ崩れる様をただじっと見つめていた

「…」

不意に不安などというものにかられるディアス

なぜかは分からないが、どこかクロスからどっと孤独感に似た悲しみが溢れてきている

そんな気がした

「ねぇ…お兄さんだぁれ?」

ふと裾を引っ張る少女

ディアスは首を傾げる

「どうした?一人取り残されたのか?」

クロスから逃げ延びたのだろう少女はぽつんと靴を履かないままそこに立っていた

ディアスは腰を屈めてその子の頭を撫でた

「あのね、私ね、お母さんとはぐれちゃったの」

ディアスはどこか困り気味で今の状況をどう説明しようか考えていた

「どこではぐれたんだ?」

女の子はんーっと言いながら空を見上げる

「お家の前で皆が外に逃げようって叫んでる時にお母さんの手を離しちゃって

それから覚えてないの」

ディアスはその子の手を握りながら立ち上がり周りを見渡す

見るに他の人が逃げ延びた様子はない

きっとクロスで閉じ込められたまま死んでいったのだろう

それが悲しみを感じる要因かもしれない

「瓦礫の下かもしれないな…」

少しきつい言い方だとは分かっていたが、そう言わざるしかなかった

女の子は首を傾げてディアスを見上げる

「じゃぁ探そうお兄さん」

腕を引かれて瓦礫の方へ向かおうとするが、人の腕が瓦礫から出ているのを見ると

女の子に後ろを向かせて目線を合わせた

「きっとお母さんはもうここにはいない」

辛い表現の仕方は出来ないと考え、ディアスは優しく微笑んだ

「いるもん、お母さんここにいるもん」

何度言っても聞かないようで、ディアスの手を引っ張って瓦礫の方へ行こうとする

困り果てたディアスはしょうがなくも口にする

「お母さんは死んだ」

その子はその言葉についに泣き出した

ディアスはその子の手を捕まえようとするが、去っていってしまった

「ぁ…」

ディアスはどこかため息をつきながらも瓦礫の中に駆け足で入って行った




---クロス城下町跡---


それは酷いものであった

いまだにプスプスと言いながら煙を出し続ける家や、半焼けした人

何かに押しつぶされた人

見るに生存者がいないのは明らかであった

ディアスは城跡を見つめるが、行く気にはならない

行きたくないのだった

一通り回ったところであの女の子がまだうろうろしているのを見つけた

このまま放っておいたほうがいいのだろうか

ディアスは数秒ほど固まるがその子の元にかけよった

「お兄さん…」

その子は泣いているようで、振り向きはしなかった

ディアスはその子が握っているものを見つめた

「母親か…?」

瓦礫の下で埋もれている母親の手を握るその子は首をぶんぶんと横に振っていた

ディアスはそっと瓦礫をどかせるだけどかし、なんとか上半身が見えるようになった

至って外傷は見当たらない

表情はどこか悲しげで…

「煙を多量に吸い込んだな…」

ディアスはゆっくりとその子の頭を撫でた

「お母さぁんッ…!」

哀れみの表情でその母と子を見つめ、立ち上がる

そして見つける

瓦礫をどけた事で見ることができた

そこにはその子が母の手から少し離れたところで死んでいる姿

ほとんど外傷はなく、母がかばったように見える

ディアスはその離れた手と手を繋げる

「あれ?なんで私がここにいるのかな?」

ディアスにも少し理解し難かった

目の前にいる子がまたその前で死んでいるのだ

その子はやっと気が付く


「そっか…私…

死んじゃったんだ」


ディアスは瞳を閉じて手を合わせた

「ごめんなさい…お兄さん

わがまま言っちゃって

私帰るね」

そう言うとディアスはゆっくりと瞳を開ける

ぼんやりと母がその子の手を引っ張っていく

母親はお辞儀をして消えて行った










---サルバ---


クロスの瓦礫からアーリアへ向かっていくリヴァルらしき人を見つけたディアスは早足でアリーアへ向かっている

「ねぇ…お兄ちゃん」

ディアスは空耳のような気がしてそのままその子の目の前を通りすぎっていった

「ねぇーお兄ちゃん」

ディアスは少しだけその声の主を見つめる

「セシ…ル…」

そう、そこにいるのは確かにセシル

だが、ディアスは首を横に振って変な酔いを覚まそうとする

「ねぇ、今からどこか遊びにいこうよ」

ディアスは首を横に振る

「それじゃぁ、何かして遊ぼう」

またディアスは首を横に振る

「じゃぁーお母さんとお父さんとでハイキング行こうよ」

ディアスは荒い息を吐きながら瞳を閉じて首を思い切り横に振った

それからセシルはいなくなっていた

「まだ……未練を捨てきれない…のか…」



吹き付ける風は冷たく


照らす光とはどこか寂しかった




*こめんと*


少し短編でやらせていただきました

フリーイラストが終わらない!!!(×

だからって全く持って手抜きなんて一切してませんよ本当、信じてください

少し不思議なお話でしたね

クロスをあんなにしたリヴァルに判決を!!

人々の悲しみは癒える事無く刻まれていく

それでも生きていくというのは大変勇ましい

そんなかんじで皆頑張って生きてこう!(無責任


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