STAR OCEAN Sanctions of God







第二章 






第六部




「かはッ…!!」

心臓を射抜かれたリヴァルはどさりと地面に落ちるとともに通常のリヴァルの姿に戻っていった



「ディアス…!ディアスッ!!!」


後ろへと倒れていくディアスをアシュトンは支えて、大きな声で呼びかけ続ける

「ちょっとー!ディアスー!あなたそれでも重症なんだか…ら…」

ウェスタが自宅から飛び出てくると同時に目を見開き、その場で立ちすくんでしまった

「ディア…ス……」

ディアスは先ほどの戦闘で骨が数箇所折れ、ウェスタの看病をうけていたのだが、

突然いなくなったディアスに焦って外に出れば…大槍が突き刺さっている状態

ウェスタはその場でふっと気を失った

ウェスタを受け止めるギョロウル

プリシスは刺さっている槍を抜こうとするが、ギョロウルに止められる

「血が吹き出るぞ」

プリシスはどうしていいか分からずに、ただディアスの顔を覗き込んで叫んだ


「ごめんないさいッ!私がちゃんとしてればッ!!!

ほら!!早くボーマン先生にでも見てもらわないと!ね?ね…?」


そんなプリシスを見てアシュトンは、ディアスにかけよって笑顔でプリシスに賛同する

ディアスは汗が滲みながらも、少しだけ瞳を開いた

「なんとか急所は免れた…ようだが…

はぁ…ぐッ…」

苦しそうに息をするディアスを見て、アシュトンは喋るのをやめるように訴えかけるが

ディアスは首を横に振る

ギョロウルは背を向けたままだんまりとしていた

プリシスは息を飲んで、ディアスにしがみついて泣きじゃくる


「私が…!私が弱いから…!油断してたから!

ディアスがこんな事にッ!!!

ぁ!!ほ、ほらッ!!病院行けばきっとすぐ直るよッ!!ねッ!?ディアスゥッ!!」


ディアスはどこか微笑んでいる気がした



「泣いてくれるんだな…」








その言葉にアシュトンが思わず背を向けて空を見上げる

アシュトンのこらえていた雫がこぼれていく

「くぅ…ぅ…」

プリシスはよりディアスにしがみついて顔をぐいっと近づける





「当たり前でしょッ!!?仲間なんだから!!!」





ディアスは少しプリシスを見つめていたが、体に限界がきたのか、そのまま座り込んでしまった


「仲間…か……やはり仲間はいいものだな」


プリシスが首を横に振りながら今この状況を打破しようかと頭をひねるがただ涙が溢れてくるしかなかった

「何言ってるの!!…ぁたり前でしょ…!仲間ってそういうものなんだから…!!!ひっくッ…」

ディアスはそうかと言って空を見上げている、何かを悟るかのように

「ほ、ほら!ディアス!!早く治してまた一緒に冒険しようよ!!」

ディアスは返事をせずに少し黙り、口を開く


「…お前を助けられて良かった」


プリシスはもうディアスを見ることができなくなり、唇をただ噛み締めていた

「馬鹿…!!レナがいたら絶対殴られるてるよ!

なんでそういう無茶を!!!」

ディアスはそのまま一息ついて、アシュトンを横目でチラッと見る


「アシュトンに俺と同じ悲しみを背負ってもらいたくない…」


アシュトンが後姿からでも分かるかのように振るえ、拳を握りしめていた

それは感謝という言葉でも言い表せるのだろうが、今のアシュトンは悲しみに包まれていた

「ディアス…ぅ…」

プリシスはだんまりとしていたが、アシュトンの震える後姿を見てより涙を溢れさせた

プリシスが死んでしまうのは簡単だが、残されたアシュトンはそれを一生背負わなくてはならない

そして自分が助けられなかった、アシュトンは一生自分を責め続けたかもしれないだろう

もしディアスが助けてくれなかったらの事を思うとゾッとし、プリシスは見ても分かるほどに震えた

「ありがとう…ディアス…、でも…でもやっとディアスも皆に馴染んできて…!

こんな風に話ができるようになってきたのに…駄目だよ…死んじゃ…!!」

ディアスはまたしても首を横に振る


「俺は後悔していない…仲間を助けることができたから…な……

昔の俺じゃ…考えられないが…

仲間に囲まれて死んでいくというのも悪くない…」


「何カッコつけてるのさッ!!!」


アーリアに三人のくぐもった声が響く

ギョロウルも共感して、目じりが熱くなるのを感じた

そう…ギョロウルもディアスと同じ孤独だったように…

仲間がどれだけ素晴らしいものか知っていたから…


「本当に守るべき者というのを…見つけられなかったのは……残念だが…

やっと俺も楽になれる…」

バシッ!

「馬鹿ぁッ!!!ディアスの馬鹿ぁッ!!!!何諦めてるのさぁ!!!」


プリシスももう分かってはいるものの、頭が拒否反応をおこしてならないのだった

そのままディアスの頭を抱えて赤くはれた瞳を閉じる

悔しさと悲しみでいっぱいの涙はただこぼれていくだけ…


「大丈夫だ…俺はもう…


独りじゃない……」





「ディアス…」

プリシスは少しだけ微笑むと、そのままディアスの首をギュッと抱きしめた

ディアスから滴れる血は水溜りのようになり、ほとんど動かず、ただ口を少しぱくぱくとさせるだけであったが

ディアスはどこか笑っている




「やっと………父さんや…母さんや…セシルに…会えるんだ…な……」




ディアスは今までにないほどの笑顔で息絶えた




「ディアスゥゥゥウウウッッ!!!!!!!」




その場で泣き崩れるプリシス

アシュトンは膝をついて自分の顔を手で覆い隠した

「ぐぅ…」

目の前でやっと這い蹲りながらも起き上がるリヴァル

そのリヴァルを見つめるプリシスの目は怒り以外の何物でもなかった


「はぁ…はぁ…

ナイトがやれるなんて…思ってもみませんでした…

プリシスは外し…ましたが…

…一人消せたということで、よしとしましょう…」

リヴァルのその言葉にプリシスが切れた





「う…うぁぁぁあぁぁぁああああああッッ!!!!」





発狂したかのようにプリシスはフェイズガンを二丁構えたまま突っ込んでいった

「無駄ですよ…」



「ズゥゥゥゥゥゥゥゥンッッ!!!」



そのままリヴァルは形を変え、完全な赤いボーディーのリヴァルが地上に降り立つ

そして、悠々と守りの体勢に入る

プリシスはがむしゃらにリヴァルに突っ込んでいった




「よくもぉ!!!よくもディアスをぉぉおッ!!!!」




プリシスは怒りに震え、精神にリンクしている専用のフェイズガンが唸った

アシュトンは思わず叫ぶ

「ま、まずい!!!プリシス!やめるんだ!!!そんな状態じゃ…!!!」




「ズガァァァァァァァアアアアン!!!」




アーリアを吹き飛ばしそうな程の豪風が巻き起こり

二丁のフェイズガンから相当な大きさの光が発せられる


「ぐぁぁぁああああ!!!!」


通常の圧縮された弾ではなく

今の光線は精神が乱れ過ぎているプリシスの心情の表れであった

リヴァルは想定外の大きさの攻撃に直接し、ボディがばらばらになっていく

それと一緒にアーリアの半壊した家などが消し飛んでいく

周りで非難した村人の人々もただ言葉をなくすだけであった



「すげぇ…」

ギョロウルがどこか見入っている中、プリシスは狂ったまま打ち続けていた


「ま、まずい!!プリシスゥ!!やめるんだ!!プリシスまで壊れちゃうよ!!!」


狂ったプリシスを止めるべくプリシスに飛び込んだアシュトン

プリシスはハッと気が付くと、フェイズガンを手から落とし、そのままふっと意識がなくなり倒れ込んだ

「はぁ…プリシス…

危ない危ない…光の勇者が村を破壊した伝説が残っちゃうところだった…」

アシュトンはプリシスを抱きかかえて立ち上がる

遠くから息を荒くしながら通常戦闘モードのリヴァルがいた

「はぁ…はぁ…くぅ…ロボまでやれるとは……

もう後が…ありませんね…」

アシュトンがプリシスを抱えながら、じりじりと後ろに下がっていく

リヴァルはまだやる気なのか姿を変えようとするが…

「……全部…やられたんでしたね……」

リヴァルが少し焦りを覚えた頃…


ゴォオオオオッ!!!


上空から何かが下りて来るのを感じ、アシュトンは空を見上げた






*こめんと*


でぃあーーーーーーーーーーすッッ!!!!!!!!

息絶えてしまいました…

やっと皆と慣れ親しんできたのに…

レナが聞いたらどんな表情をするのでしょうか…

あまり想像したくはありませんが…

でも…やっとディアスが本当に楽になれるわけです…

逃げるな!立ち向かえ!というのがあれかもしれませんが…

本当にディアスが笑って…休めるのは…家族の側だと思います

もしプリシスがあそこで死んでしまったら

アシュトンはこれからの戦闘に憎しみだらけの状態で戦うしかできなくなってしまいます…

ディアスは重々承知でプリシスを守ったわけです!あっぱれ!

リヴァルの形態は後2つありますが

この時点でその二つは既に倒されています

ということでもうリヴァルはなんの形態にもなれないわけで

そんな時に上空から何かが…!

皆頑張って!(無責任




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