STAR OCEAN Sanctions of God 〜神の制裁〜







第十四章








第二部





---エリクール2号星---








アポトロディウスから転送でエリクール2号星に降り立ったプリシス達

どこかのどかな森の中で慎重に進みながら探索を始めた



「確かに砂漠地帯はあるみたいだね」

レオンは銀河連邦が収集していたエリクール2号星のデータを見ながら口を尖らせる

「ほら!私の言った通りじゃない!!」

誇らしげにうんうんと頷くウェルチが気にくわないのかレオンが独自の探査を続けた

レザードがマントをひらりと浮かせながらウェルチに迫る

「そうすると後はその砂丘から行けるという創造主の場所への正確な入り口…

そして何が必要だと言いましたか?」

ウェルチはレザードと瞳を合わさずに怯え気味で苦笑い

程々ということでレザード一人で尋問させたのが間違いだと今更仲間たちは後悔…

何を言われ…何をされたのか分からないが…尋問が終わって二人が帰ってきた頃には…

ウェルチが子猫のように震えて…安楽を求めて目の前のリヴァルに飛びついて泣きじゃくったのはつい数時間前…

「この銀河の各所を支配するオーパーツが…キーになってます…」

ついにはレザードの前で敬語になり始める様はどこかもう…可哀想で仕方がなかった…

「確か私がマザーに埋め込んだオーパーツをあなた達の仲間が持って行ったようですが?」

プリシスが一瞬レザードの顔が歪んだように見え、怯えた表情をする…また…何かを企んでいるんじゃ…?と…

少々爽やかな表情でいるレザードに安堵の息を漏らしながらプリシスが答えた

「エルネストって人が考古学の探求者でね…確かどこかの星に持ち込んだとかなんとか…」

そう言うとウェルチがあっけらかんとした様子で答える

「オーパーツがまるで私物扱い…まぁ…その星がここなんだけどね」

優々とした表情で元気に答えるが、レオンが眉を潜めながら答えた

「レザードが世界の法則を知りえる程のオーパーツ…本当はそれが狙いだったりして?」

ウェルチは首をブンブン振りながらレザードの邪笑に震え上がる…

「レザード…ッ……………れ、レザード様だったからこそ解けたオーパーツの情報……

最高の科学者で…探求者だったからこそで……

私程度の者がどうにかできる代物ではー…」

もうレザードの睨みでばんばん答えるウェルチを助けたくなるレオンであった…


それにしても、ありとあらゆる情報を知っているウェルチ…

十分警戒もしながら…であるが、皆、ウェルチには感謝している…

今は頼らざるを得ないその情報が確かなものである証拠はないが…

進み道が残されているのだから…


「あれ?この星に通信が入る箇所がある…」

レオンがんん?とうなると、その通信に介入しようと試みる

未開惑星に植民地目的で高度文明種族が狙っているのかというとそれは違う

この通信は個人の物……見覚えのある通信番号であった


「オペラ…?」


レオンがそう声をあげたときに隣にいたリヴァルがすぐさま反応する

「オペラがどうしたのですか!?」

地球でエルネストを探すと行って姿を消してしまったオペラ

リヴァルはそんなオペラを誰よりも心配してたのだろう…凄いくいつき様でレオンの通信機を見守った

『あら?レオン…?どうしてここに…!?』

突然の通信が入ったかと思うとオペラが映像に映っている

「オペラぁ!!無事だったんですね!?え、エルネストも一緒なんですか!?」

リヴァルの反応に全員が気がついてプリシスやアシュトン、オペラを知る面々がレオンの元へ皆歩み寄ってきた

「オペラ!心配したよー!良かったー!どうしてこの星にいるのー?」

プリシスの元気な様子にオペラも安心したのか一息ついて、その質問に答える


『エルが前に言っていた星を巡っていたら…

ここに辿りついたのよ…』


落ち着いた優しい微笑からは幸せが伝わってきた

なぜだか、オペラはアシュトンが無人君化しているのは突っ込まない…

横からエルネストが顔をひょいと出して、オペラに何かを言うと

こちらに気が付いたのか、笑顔で答える

「良かった…お前達も無事でいてくれたんだな…」

エルネストも元気そうでプリシス達が歓喜の声をあげた

再会の余韻にひたりながらもヴァルンティスが呟く

「そうそう私達ものんびりしている暇はない…

要点だけを聞いてそちらと合流するのがもっともだと思うが…」

その言葉にプリシスがなははーと言いながら苦笑いして確認する


「前話してくれたオーパーツって今どこにある?」


その真剣な表情にエルネストとオペラが顔を見合わせて答えた


『今いる村で大事に保管されているわ』


その情報にガッツポーズをするプリシス、アシュトン

レオンとリヴァルが笑顔で安堵の息を付き、オペラに居場所など聞き出している間…

「綺麗な空だな」

ヴァルンティスは空を見上げ…

わいわいと騒ぐプリシス達を無言で見つめるウェルチをレザードは神妙な面持ちで見守る…

「シャル嬢…?……」

シャルは起きていて…皆の様子を見つめていた

でも、アーツの背中から降りようとはせず…無表情…

ひたすらにレイアがくれた装飾鮮やかなネックレスを見つめるだけであった









---シレイズ村---




途中盗賊や小さな魔物と出会うも戦いながらも数時間かけてなんとか辿り着いた村…

その間、戦闘などでウェルチは器用に杖を使う様を見せ

少々関心しながらすぐ調子に乗るウェルチをレザードが沈めていた

周りは砂漠だと言うのに水が溢れている村は人々の活気がある…

家を増築したり色々な商店をする様子は…本当に今から村から大きく復興するかのよう

そんな中で大きく構える古い石造りの家がそこにあった

リヴァルがオペラに会いたくてしょうがないのか、扉に手をかける

ガチャ…

待っていてくれたかのようにオペラとエルネストが中で歓迎してくれた

「オペラぁ!!エルネスト!!」

リヴァルがオペラに抱きついてほんのり涙を浮かべる

そしてエルネストの手を両手で握って良かったと連呼…

「エルネストもお元気で良かったです!!」

エルネストがリヴァルの元気っぷりに渋く微笑む

「本当一時は一生二人とは会えないのかと思ったよー!」

そこへ続々とプリシス達が来るのだが、さすがに状況を飲み込めないオペラとエルネスト…

ぬいぐるみみたいな妖精、見たことのないサメ種族…明らかに怪しい眼鏡を光らせてマントを翻す男…

そして小さい女の子と普通の女の子…

自己紹介させたいのだが、皆それぞれの着いて来ている理由は話すには時間がかかりすぎる

軽く紹介させる事にした

「明日を守るために着いて来てるプ」

アーツが少々シャルを気にしてか控えめに答える

「私はねッ!!…………えっと…成り行き…です」

レザードの睨みが効いたらしく、ウェルチが体を縮こませた

「同じくこの者達の正義に突き動かされたものでな…」

ヴァルンティスが代わり映えない表情ながら頷いて見せる

「この世界の運命を、人々の力をこの目で見るためです」

余計な事を言いそうな感じではあったが、レザードはまともに答えた

オペラとエルネストはそれぞれの想いをある程度理解したところで歓迎する

「……ふぅ」

レオンは冷や汗をかいてしまった…

クロード達12人の英雄を抹殺、世界を崩壊目論んでいて…

テトラジェネスを襲ったのもレザード…

「………」

それでもレザードはどこか落ち着いた様子で用意された紅茶をすする

どこか雰囲気が変わったな…そう思えた


こうしてある程度の補足を加えながら自己紹介を終わすと、オペラ達のここに至るまでの話をする

「エルは私を逃がした後、なんとか自ら治療しながら考えた…

リヴァルが攻めて来るのには、エディフィスから持ってきたオーパーツに原因があるんじゃないかってね…

そしたら私よりオーパーツを優先、心配をしてこの星へ降り立った…

それを私がまた追いかけて行った形になるわね」

オペラがどこか嫉妬気味なのをにやにやして聞くプリシス達

エルネストが苦笑しながら首を横に振る

「オペラなら大丈夫だと思ったんだ…

あのオーパーツは相当な力を秘めていると感じていた俺はそちらを優先した…

それでガブリエルの時みたいに宇宙崩壊されたらたまらないからな」

皆少々遠慮気味にレザードを見るが、レザードは肩を浮かせて息をつくばかり

プリシス達はエルネストの判断は大きかったと思いながら、再びエルネストの話に耳を傾ける

「気が付かない間にオーパーツ、名を『セフィラ』として、水を生み…

この村は一気に人が集まり…ちょうど栄え始めたばかりなんだ」

その説明で今の村の雰囲気が読めるが…皆こちらが笑ってしまう程に活き活きしている…

「お情けを認めるなんて…あっちは何を考えてるんだか…」

そうウェルチは皆に聞こえない小声で呟くも、レザードがウェルチをじっと監視していた

プリシスは真剣な面持ちで本題に入る


「オーパーツって貸して貰えないかな?」


ここに来る間にある程度話はつけていたものの…

「そのセフィラを持っていってしまうと村から水が無くなってしまうのよ…」

オペラとエルネストはあまり宜しくない表情でそれぞれうつむく

すると奥の扉からひょこっと顔を出す少女…困惑した様子で口を開いた

「この方々がエルネスト様達のお仲間ですか?」

レオンやプリシスは聞き及んでいたために理解できる…エルネストが助けた少女…

「わ、私フロル・ダインと申します!今はお二人のお世話係をやっています!」

まだ少々幼いながらのしっかりした瞳は純粋さを物語る

どこか…口調的にもレイアに似ていた

少しだけ…シャルはレイアと面影を重ねたのか、顔を上げる

「そうだ…それで、決断はしてもらえたか?」

エルネストが何かフロルに言っていたのか、その決断というものに頷いて答えた

「そのセフィラは元々エルネスト様の物です…ですが

今、最高保有者が私となってしまった…そのセフィラに何かあったら処刑も確実です…

エルネスト様もオペラ様もただではすまないかと…

ですから…」

そう言った時に不意にレオンが口ずさむ

「オーパーツ『セフィラ』がない間…水が出ていればいいのかな?」

そう言った時に不意をつかれて動揺しながらもフロルは頷いた

「そういうことになります…」

実際問題一刻を争うのだ…

突然”エクセキューショナー ”が出てこないという保障はない

フロルがそう答えた事でレオンは笑みを浮かべて、ウェルチを横目で見ながら答えた

「聞きたいんだけど…この大陸で砂漠に他とは何か違う建物とかない?」

ウェルチがビクっと反応したが、口を尖らせている

「そうやって信じてくれないんだー…」

フロルは何かを思い出したのか少々上の空になると語りだす

「砂漠に古代遺跡の跡かと思われる大きい門だけが構えてある場所があります

未だになんでそこにあるのか、目的すら分かってないみたいなのですが…

エルネスト様は行ったんですよね?」

エルネストはその話で探索してきたという遺跡の話を始めた

「場所的には人が行くには相当困難な場所だった…

砂嵐が常に吹き荒れ…容赦なく日の光が体力を奪っていく…

俺が少々調べた結果としても…構造が俺の知りえない方法などを使っていてな…

その門自体がオーパーツのような気がした」

うんうんと頷くレオンはウェルチに目線で確認した

「ほーらー!私の言った通りでしょ!?これは行くっきゃないよ!」

フロルが砂漠の話で盛り上がっている所に手を上げて呟く

「あのぉ…それで…水はどうするんですか…?」

レオンがコクリと頷くと、レザードに視線を配る

「調べたけどこの辺には水脈はない…したがって…

アポトロディウス内にあった装置はここに転送できる?」

レザードがその言葉で理解したのか眼鏡をクイッと直して頷く

「もちろん」

レオンが言っていたのは、アポトロディウス内にあった紋章力で動く装置の事…

紋章術は何もないところから物理法則を捻じ曲げて使用する

それを応用したレザードはある装置に紋章を刻み、紋章力を注ぐことで水を精製していたのだ

オペラが疑問に思いながら問いかけた

「未開惑星保護条約は…?大丈夫なのかしら?」

プリシスとアシュトン、リヴァルも少々同意見なのかレオンに目を向ける

「まずセフィラ自体が星に大きな影響を与えていると思うけど…

水が出続ければ他の人々はセフィラのおかげだと思い続けるさ」

エルネストはむぅと唸ると、?な表情のフロルに答えた

「セフィラの代わりに水を出してくれる物があるんだ…それで大丈夫か…?」

代わりになるのなら…と言うとフロルも納得し…頷く

「実際何が起こるか分からないセフィラよりかは、水しか出さない装置のほうが安全かもねぇー…」

水を巡って戦争になる場合もあるのでエルネストはプリシスに苦言を述べ…

その後に感情に動かされオーパーツをこの町に与えたエルネストにレオンからの苦言が続く…





---夕刻---


一息ついて落ち着いたプリシス達は作戦会議…

その頃には外は日が落ち始めている…

「作戦の決行は明日の日が出る前になります

これはこの時間が一番砂嵐が止む事から…

と…やはり皆さんお疲れということで…今日はぐっすり寝てください」

眼鏡をかけたレオンとリヴァルが説明をする

「作戦内容なんですが、ウェルチさんどうぞ」

テーブルで手を枕に寝損ねているウェルチの耳をレザードが強く捻った

「あいだだだッ!!なにすッ」

なにすんのよッ!と声が出かける目の先にレザードがいたために一瞬で冷静になる…

「えっと…ですねぇ…私がその砂漠の扉に続く創造主の部屋への道を…セフィラを使って開けます…

い、以上…」

ウェルチがレザードに怯え怯え答える中、アシュトンから質問

「その扉は…過去のエクスペルにも繋がらないのかな?」

皆が静まり返る

未だに存在、記憶自体は消えていないものの…

こうしている間にもレナは必死に戦っているのかもしれない…

ましてや本当に過去のエクスペルへと繋がっているのかさえ疑問に思うと、皆は笑えなくなっていた

そんな空気の中…ウェルチが苦笑いするしかなく…

ただひたすらに時間が過ぎる

プリシスがにかにか笑いながら元気に答えた

「レナならなんとかしてくれる!それを信じて戦おう!!

それにオペラやエルネストが参加してくれるんだから!心強いよ!」

オペラが苦笑しながらお腹を撫でる…


「ごめんなさい…私、妊娠してて…」


一同がポカーンとなった


「「えぇぇぇぇぇぇええッ!?」」


誰よりも喜んだのがリヴァルでオペラの肩を掴んで焦り焦り喋る

「おめでとうございます!

さ、さっきオペラの胸に飛び込んでしまいましたが大丈夫ですか!?」

その言葉をお腹にも向けながら、リヴァルは横にいたエルネストの手を握った

「おめでとうございます!!」

エルネストが照れ笑いする中、続いてプリシス、アシュトン、レオンが喜びの表情で駆け寄る

「少しお腹大きいからてっきり太ったのかとぶッ!」

プリシスの余計な言葉は額にオペラからとてつもないビンタをいただく結果となった

気にしていたらしい…

レザード、ヴァルンティスは小さく拍手し、アーツが脱力したままのシャルを椅子に座らせて…踊りだす

パァアアアアッ!!!

華麗な踊りと共に辺りが輝き、花が舞った…とても幻想的な光景

プリシス達がアーツに拍手皆が見とれる

フロルが目を輝かせて飛び上がっていた

「凄いですね!やっぱりエルネスト様のお仲間も神様のようです!」

唯一ウェルチがどこか気難しそうな表情で見ている…

「ありがとう妖精さん」

オペラの優しい微笑みと共にアーツは笑った

シャルは…踊りというものを忘れたままのようで…

ただひたすらに膝を抱える…

この後プリシスなどがいくら言ってもシャルは返事をしようとはしなかった…








---シャル、アーツの部屋---


シャルは膝を抱えている…

アーツは分かっていた…もう普通に話せるだろうし、普通に振舞うことも…

それでも幼いシャルの心は恐怖で染め上げられている…

「………」

シャルは皆に色々と励まされた…それでも…

後一歩の勇気が足りなかった…

自ら踏み出す勇気を…

アーツはオペラとエルネストに任せて、ここに置いていく事を提案として伝えると…

シャルは膝を抱えたまま、何も言わずにゆっくり首を横に振った…

「分かったプ」




---玄関付近---


壁に寄りかかりながら腕を組むヴァルンティス

レザードの悪事のために散っていったバンデーンの精鋭達…

憎くてたまらない…だが今すぐこの世から消し去る事は…なんの苦しみもない

そんな事を考えながらも、クロードと拳を交えた時の事を思い出す…

「私は…確実に歩みを進めているのだろうか…」

再び同胞を踏み越えて生きている…こんな自分でも父様は褒めてくれるのか…

色々な事に悩んでいる自分に含み笑いをしながら精神統一をしに外へ向かった





---廊下---


「空を見上げてどうしました?」

レザードがお風呂あがりながら、窓越しに空を見上げるウェルチに声をかける

警戒する様子はなく普通の口調で答えた

「さっきまでオペラの愚痴とお腹の音聞いて…エルネストの遺跡話を聞いてきたのよ」

レザードはそんなことごめんな様子で軽くあしらいながら、流し目でウェルチを見つめる


「もしもよ…?もしもこの世界が…

私達と変わらないような人達によって生み出されたとしたら」


最後まで聞く前にレザードは何気ない返事を返す


「それは罪ですね」


と…

ウェルチが口元緩めて再び空を見上げた時にはレザードはいなくなっていた

「そうよね…」




---オペラ、エルネスト寝室---



「あの子達…本当…強くなったわね」

ブランデー……ごほん、水を飲みながらオペラは瞳を閉じている

エルネストもそっと笑みを浮かべるとオペラの髪とお腹を撫でた

「宇宙を守るために…プリシス達は人でなくなる事も惜しまない…

進んだ先にその力を手にしなくては乗り越えられない道のりだったのだろう…

宇宙を守るというのは人によって解釈は異なるのにも関わらず…

強い意志と心で進んできた…

その意志と心に敬意を表する必要があるな」

オペラはあまり深く考えようとはせずに答えた


「自分の居場所を確認したいのよ…

私達だって、誰だって…ね」


エルネストは目の前にある居場所を…手放すつもりは毛頭ない…

オペラとエルネスト、そして生まれてくる子供の…自分達の未来を…

プリシス達に託す…






---メインホール---


「レオン」

リヴァルも恥ずかしいのだろう…

それでもリヴァルはレオンに抱きついたまま離れようとせず…

レオンは顔を真っ赤にし…耳をプルプル震わせながら、落ち着くために一息ついた


「リヴァル…全てが終わったら…」


ちゅ…

リヴァルの精一杯のアプローチだったのだろう…

レオンの唇にそっと触れるようなキスを交わすと顔をりんごのように真っ赤に染め上げ…泣いた

「怖いんです…また…誰かを失うんじゃないかって…ん」

構わず思い切って先程よりかは長い口付けをレオンはすると…きつく壊れる程に抱きしめる


「僕は…皆を明日を信じてる」


膝をガクッと崩すとリヴァルは座り込んでレオンの胸で長い時間すすり泣いた…







---屋上---


空は満点の星空…

アシュプリがどこか懐かしく感じていて…

まるでネーデでの決戦前夜のようで…どこかくすくすと笑いながらも…

プリシスはギュッと胸に収まるアシュトンを抱きしめる

アシュトンは笑顔で答えた…


「これから何がおきて…どんな最後を迎えるのか分からないけど…

僕はずっとプリシスの側にいるからね」


そんな言葉達は何度も言ったのかもしれないけれど…

そこにはアシュトンはもちろん…無人君から受け継いだ意志もある…

それは、明日を戦うには十分な言葉達


「その言葉、そのままそっくりお返しするよ!」


無人君サイズなアシュトンにくすくす笑いながら、二人は夜を過ごした











---明け方---



「私も着いて行きます!

その『セフィラ』の最高責任者として…!

この村に戻ってくるまで…見届けます!」


それはフロルなりの考え

皆が説得しようとすると、エルネストから答えた

「頑固だぞ…と」

連れて行く事が『セフィラ』を持っていける条件に加わってしまたため…

フロルの笑顔とともに観念する他なく…








プリシス達は日が昇り始める凍える寒さの中…砂漠へと向かう…

皆様々な思いを募らせながら困難な砂嵐、道のりを越えて行く…





---砂漠遺跡 巨大な石門---


何事もなくなんとか辿り着いた先に想像以上の大きさの門があり…

皆がその門の前で立ち止まる…

「ここから行けるんだよね…」

日が昇り始め、皆を光で包む…

その門の奥に創造主がいると考えると心臓の高まりが抑えられない…

「じゃあ…ウェルチ、これ」

レオンはこの門を創造主の元へ繋げるため、ウェルチに『セフィラ』を渡す…

ウェルチがいなければここにさえ辿り着けなかった…感謝すべき…

どこか眉を潜めた表情でウェルチは門に手をかざすと何かを詠唱した


ズゴォオオオオオオンッ!!!

ズガァアアアンッ!!

 
唯一の望みである門が崩壊する…


皆は唖然とした様子で門を見つめた後にウェルチを見やる


「嘘…だったの…?」


落ち着いた様子のプリシスだが、強く握られた拳と…震える体は感情を表していた

ウェルチのどこか悲しげな背中…コチラを向かずに淡々と喋り出す


「この門は創造主へと繋がる門なのは事実…

でも、あなた達がここを見つける可能性は0ではない…

だから確実に行き場を失わせる必要があった…」


ウェルチが裏切るなど…最初から気付いてはいたこと…

最初から…信頼などするつもりはなかった…

それでも、創造主側の者だとは思わせない性格だから…

ウェルチをプリシス達はどこかで信じていて…


そんな信頼が大きな音と共に崩れ去るかのように…崩壊する石門

これでレナを助ける手段を断たれ…

砂煙とともに門は瓦礫となってしまった



プリシス達から向けられる眼差しから目を反らしながら…髪を解いて本来の姿を見せる…



そこにいるのは『イセリア・クイーン』



以前戦った『イセリア・クイーン』とは明らかに違う存在のような未知数の力の波動





別次元の存在を思わせるには十分の…威圧感









「創造主の命により…

あなた方を抹消します…」












*こめんと*



長らくお待たせしました…

ラストスパートに入ってきましたSOSOG

ここまで読んでくださる方がいる事を信じてここまで根性でやってきました…!

オペラとエルネストと再会し、久しぶりの憩いのひと時を楽しんだのでしょう…

皆それぞれの想いを胸に…門の前まで訪れるも…

やはりウェルチは裏切り…オーパーツを使って門を破壊する…

最初からこうなることは分かっていたのかもしれない…

目の前に現れたイセリア・クイーンの容姿を持つ…存在…

今まで出会った何よりも圧倒的な力…

進む術を…どう乗り越える…!

果たしてレナは…!?宇宙の運命は…!?

もうラストスパートまで一直線…!


こうご期待!!!


2009/04/06  蒼衣翼 




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