STAR OCEAN Sanctions of God







第十一章








第一部










---エディフィス大気圏内 カルナス内---



「プリシス、任務は分かってるね」

レオンが腕を組んでリヴァルと共に指示を出す

シャルが背伸びをしながらモニターのプリシスに手を振っていた

そんなシャルに手を少し振った後にプリシスは元気に頷く

「分かってる…このF・カルナスがエディフィスに降り立つための…

場所を確保できればいいんでしょー?」

リヴァルが苦笑いしながらレオンが少し呆れ顔であった

「元気になったのはいいけど冷静さを忘れないよーに」

レオンからのお達しがあった後、リヴァルがプリシスに微笑む

その笑顔にプリシスもついついにこやかになった

「プリシスなら大丈夫です」

そんな言葉に感極まって泣きそうになるのは隠しながら…

皆に微笑んで



飛び立つ



「いくよ…無敵君…」



ズォオオオン!

シュンッ!!!



F・カルナスから飛び立って軌道計算をしながら加速する無敵君

プリシスは焦りがどこか見え隠れする中で口は笑っていた



















---エディフィス大気圏内 カルナス内---


「軌道軸誤差修正完了…」

リヴァルは無敵君の星への大気圏突入に不安そうな表情でモニターを見つめる

レオンもどこか不安げな様子、シャルとアーツは勝手にそわそわしていた

「プリシスお姉ちゃん大丈夫かな?」

アーツがすかさず頷きながら話をしている

「勿論プ!あの私を宇宙に放り出そうとした人だプ!」

レオンがそんな様子にシャルの頭に手を置いた

わっという高い声と共にレオンを見つめるシャル

「プリシスは絶対に大丈夫」

そのレオンの笑顔と隣のリヴァルの笑顔でシャルに笑顔が戻り

モニターをジッと見ていた










---無敵君内---

プリシス本人は大気圏突入の際の重力関係のシステムの確認をとったことがない

性能や装甲、エネルギーから兵器として認められ、様々な実験を行ったそうだが…

研究により多忙だったプリシスは少しメンテをして動かす程度しかしていない

報告書なんて大抵嘘っぱちで事実どういう結果が出たかは分からない

「それでも私は無敵君を…信じる」

プリシスは操縦器片手に左手の薬指を見つめた



















※音量に注意

Onoken様



「sagashimono」 『プリシス…ちょっといいかな…?』 エクスペルでのリヴァル襲撃で私と合流した夜… アシュトンと私は… 二人でベッドの中で触れてない部分があるのか疑問に思う程に密着していて… 私がとろんとした瞳でアシュトンの顔を見つめる まだどこか寝ぼけているようだった アシュトンがベッドから抜け出す 『あぅ…』 私が小さい子供のようにアシュトンの服の裾を引っ張って身を震わせた アシュトンが苦笑いしながらある物を取り出す 『これ…なんだけど…僕が決心着いたっていうまで… 持っていてくれないかいッ!』 突然だからよく分からなかったが私は地球で見覚えのある箱を渡された エクスペルだというのに地球製の有名なブランドの結婚指輪のボックス キョトンとした様子で私はじっとそれを見つめる どうやって稼いだかは絶対聞かない事にした 『ふぇ…えと…開けたら怒る?』 アシュトンが相当な焦りを見せながら頷く姿に私はついつい笑ってしまったが… 嬉しくて…嬉しくてたまらなかった 死んでしまうかと思ったほど… 『絶対返さないからね!』 アシュトンは無言でプリシスをそっと抱きしめる 『ずっと一緒だよ』 それだけ言って顔を真っ赤にして背を向けたアシュトン 私はなんとも言えない幸せな気持ちになって… 心臓がバクバクして…顔が火照って…どうしようもなくて 『嬉しすぎて…私死んじゃうよ…』 私はその箱をギュッと抱きしめアシュトンに再び抱きついた アシュトンは未だに恥ずかしそうにしていて そんなアシュトンを見て胸がより高ぶって… いっぱい愛してくれるように…おねだり… 『ねぇ…アシュトンは私がいなくなったらどうする?』 『どうしてそういうこと聞くかなぁー!』 『私は頑張るよ…精一杯…いなくならないように…だから』 『いつでも僕は側にいるよ』 『ありがとう』 「…プリシス!」 そっと意識を戻し私はレオンの声に瞳に強い意志を込めた 目を開ければ体が浮かぶような状態 無敵君が雲を次々と貫く 視界には見慣れた大地はなく… ただひたすらにアポトロディウスに破壊された大地… アシュトンごめん…指輪の箱を開けちゃ駄目って言われたのにはめてまでいるよ…? それでも…少しでも…最後の一時でもアナタを感じていたいから… 私は死ぬかもしれない… それでも…私は…明日を生きたいから… 戦うね 「グオォオオオオンッ!!!!」 遠くからも体を振るわせる程のアポトロディウスの咆哮 そのアポトロディウスは地球で見たものより一回り大きく、目つきが違っている プリシスは既に何にも微動だにせず無心になっていた 「グオォオオオオンッ!!!!」 ゴオォオオオオッ!!!! 上空からの飛行物体に一匹のアポトロディウスが業火を放つ ブゥオオオン!! その業火は上空から落下してきた無敵君に直撃 アポトロディウスは業火の余韻で雄叫びをあげようとした瞬間 ズォンッ!! ズガァアアアンッ!!!! 業火を突き抜けた無敵君は地面を砕く勢いで踏ん張り アポトロディウスの前右足を拳で殴り飛ばす そして怯む寸前にブーストを稼動させてその勢いのまま顎を殴り飛ばした ズガァアアンッ!!!! 「グガァアアッ!」 一瞬の怯みから無敵君は次々とアポトロディウスに打撃を与えていく ズガンッ!!ズガァンッ!! 一打一打に重みのある攻撃にアポトロディウスはもがきながら両腕を無敵君に振り下ろす ズガァッ!! かなりのリーチと速度に回避運動が間に合わず無敵君は手で受け止める その結果両腕がきしみ装甲にひびが入ってしまった それでも焦る事無く一旦後ろに下がる無敵君は背中から大剣を取り出し振るう 大地や空気が揺らぐその大剣を構え、一気に間合いを詰めて… ズガァッ!! その斬撃はアポトロディウスの片手でふさがれもう片方の手で無造作に無敵君は切り裂かれた 胴の部分に大きな損害が出てしまったがそれほどの被害ではないが 防いだ左腕に支障が出始める 大剣を引き抜いて顔に突き立てようとした瞬間 ズガガァァンッ!! アポトロディウスの強烈な全身を使っての体当たりを無敵君は直撃し 大剣はギリギリ反れ、支えていた腕、肩、胴が突進のダメージをモロに喰らってしまい そのままの衝撃で地面を転がり無敵君はゆっくりと起き上がる 地球での一戦では一発一発が相当な破壊力を持った攻撃が出来たが ここのアポトロディウスは違うということか… それらをなくし、重装甲及びシンプルな大剣での戦闘を重視させた だが装甲などアポトロディウスにとっては生皮と変わらぬ様子で切り裂き砕く これでは無敵などとは程遠い存在 どれだけプリシスが焦っていたかが伺える 「……」 プリシスの額からは血が滴れ、右手を押さえていた 無敵君の体全体に支障が出たためにエラー音が鳴りっぱなし… そんなエラー音はどこかプリシスを見捨てたかの様な響き うまく起き上がれないながらもプリシスは諦めようとしない そうこうしているうちにアポトロディウスは魔物を生成していた これ以上敵を増やす訳にもいかない まだ…やれる… ブオォオオッ!! 一気にブーストで上空まで舞い上がり、無敵君は胸からアースホープを… ガゴンッ!! 「……」 さっきのアポトロディウスの胴部への攻撃で… アースホープは機能しなくなっていた 最終兵器が…こうもあっさり使えなくなるなんて… これに完全に頼らない前回の無敵君の『カタチ』 今更改造を加えた事に後悔している暇はない 『プリシス…もう…』 口を閉じていたレオンの声がモニターから響く 上空を舞う無敵君、下には魔物が増殖し…アポトロディウスが睨みつけていた 「私…まだ諦めてないから…まだまだいけるよ」 モニターを切ってプリシスは再び目を細めて神経を集中させた ズガンッ!!ゴォオオオンッ!! 厚みのあった装甲が外れ、無敵君のリミッター解除を施し、もう一対の大剣を取り出した 「負けないから…」 ズゥォオオオンッ!! 一気にブーストでアポトロディウスに向かって剣を構えた状態で突っ込んでいく 「ぷぎゃああ!!!」 魔物が雨のように上空から、地上から襲い掛かってくるが… ズギャアアアアアッ!! 最大加速の無敵君に次々に吹き飛ばされていく ゴォオオオオッ!! 当たる寸前でのアポトロディウスの強烈な業火 それをもろともせずにそのまま片目に大剣を突き立てた 「グオォオオオオンッ!!!!」 重低音で叫び声をあげながらアポトロディウスは動きが鈍くなり、体が思うように動いていない ズバァッ!! ザンッ!!! 無敵君は軽い身のこなしでアポトロディウスの羽、腕を吹き飛ばしていく 「グオォオオオオンッ!!!!」 抗い続けながら滅びていくアポトロディウス、黒い煙と共に蒸発し損ねていた 「とどめ…」 ドスッ!! 上半身を持ち上げて最後にのしかかってこようとしたアポトロディウス 無敵君は大剣を持ち替え、心臓に向かって大剣を突き上げた 「グガァアアアッ!!!!」 確実に心臓を射抜くが、のしかかってきていたアポトロディウスに無敵君は… ズガァアアアンッ!! アポトロディウスは叫びをあげながら黒い炎を上げて燃えた 『プリシス!!プリシス!!!!』 『プリシス応答してください!!』 『プリシスお姉ちゃん!!』 「頑張ったよ…私…!」 プリシスのかすれた声 「よくそんな状態で勝てたよ!!頑張った!」 レオンが褒め、リヴァルとシャル、アーツが微笑み安心したのもつかの間… 「グガァアアアッ!!!!」 違う方向からの…アポトロディウス 外からの魔物の攻撃を受けながら 「まだ…まだぁ!」 魔物に蝕まれながらも無敵君は立ち上がる ズガァアアッ!! 無敵君の両腕が落ちた 「ブーストは…」 ガスンッ エネルギー回路がどうかしてしまったため、既に無敵君は動かない鉄の塊に成り果てた 無敵であるはずの…最終兵器が… ズガァアアアアアンッ!! アポトロディウスの勢いのある突進で面白いぐらいに無敵君はバラバラになり プリシスが外に投げ出された 「あぅッ!!…うぅ…くッ!」 頭からの出血で意識が朦朧し、右手がもう麻痺しているようで… 色々な箇所が傷だらけながらフェイズガンを取り出した 「皆の為に…!明日の為に…!私は…戦うの!! せっかくエディフィスに着いたのに… こんな所でやられたんじゃ…!皆に!アシュトンに笑われちゃうよ!! だから… 私は絶対に負けない!!!」 魔物に囲まれ、後ろではアポトロディウスがゆっくりこっちに近づいてくる プリシスは指輪を見ながら笑っていた *こめんと* いつだって私は前向きで皆を励ました どんな境遇だって自前の元気さでカバーしてきた 辛い…よ それでも私は決心したから 迷うつもりはないから とプリシスがガンガン活躍しています 自分の戦い方であるロボットも機械も破壊されても ただただ立ち続ける エディフィスで後から来た皆に笑顔であるために 存在を確立し続けます パロディ書いてかないとキツくなってきた感じの管理人ですorz 必死に居場所を探して…戦う理由を見つけて… ひたすらに生きる… それがどんなに辛くても…!! こうご期待!!! back