STAR OCEAN Ragnarok 〜神の制裁〜











第一章 ハジマリ









第三部 始まりの鐘 -Bell of start-







運命の歯車は動き出し、再び勇者達は地球を…仲間を守るために動き出す____














---銀河連邦本部 絶対防衛ラインSランク総司令塔 会議室---





「と言っても惑星ネーデ滅亡以降は我々独自の進化をしてきたため

血は限りなく他種族…では、なぜその話をしたのかというと…む」

アレーンにバッカスは再び口を塞がれた

「長くなるからやめてくれ…私が簡単に話そう」

瞳をゆっくり閉じて腕を組むと、右の人差し指を立てる

「バッカスは事細かに話そうとしたが、要はアポトロディウス殲滅後

この宇宙の緊急の事態にバッカス先行の元、ENUへ出向く予定なのだ

ランフォード達はエナジーネーデの脅威の文明を知っているだろう?

それと並行として今でも存在し得るENU…その力を借りる必要があると

バッカス本人が判断した…

そのENUに向かう心の準備というものが必要だと思って先に言わせてもらった

さて、作戦内容は…」

一同は既にアポトロディウスの殲滅後を見据えている事に驚いたが

レナはどこか複雑な心境ながらアレーンに向けて手を挙げる

「あの…私達まだ地球から出る申請などは…」

アレーンがそんなことか、と言い捨てて作戦内容のホログラムを出し始めた

「全員分、既に未開惑星探査特別小隊”アース ”と命打って

未開惑星探査に出ると申請しておいたが…では、作戦内容を…」

軽く話すもので、そっかー!良かったなどの言葉が一同から出るも…

「ちょ、えぇ!!?だって全員分だなんてどうやって申請を…!

それに、そんな簡単に小隊編成して大丈夫なんですか!?」

プリシスが真っ先に飛び出し、事の重大さに思わず叫んでしまったが…

アレーンの鋭い睨みで一歩下がって息を吐く


「権限だ」


その一言で騒いでいたプリシス達が静まった

「私もその小隊に入っています?アレーン理事長…」

イリアが少々口元を引きつかせながら聞くも…アレーンは頷かず…

「無理はするな」の一言

イリアはどこか引っかかる言い方に頭を下げ、プリシス同様一歩下がる

「流石にお前まで着いてきたら地球が心配でならない」

どこか荒々しく言い捨てるアレーン…イリアの頭が上がらなかった

もう一つだけと言ってレオンが挙手すると…目を細めて質問する

「全員と言いますと…理事長直々に同行されるんですか?」

アレーンがキョトンとした様子で「理事長を降りて同行する」とさらりと答え…

「副理事長に前任を任せる良い機会だと思ってな…一研究者として理事長の席は害にしかならん」

この人はどこまで研究者の鏡なのか…笑いながらホロリと涙が零れるレオンとプリシスであった

「さて…作戦と言ってもだな…」


長い作戦説明かと思いきや…敵の強さが未知数なため、

基本の作戦行動以外は難しい話はなく…

「さて、最後になるが…

このアポトロディウス戦は始まりに過ぎない

被害や犠牲を最小限にし、次の任務をスムーズに進められる事を祈る」

レナ達が敬礼した後…すぐさま解散して各それぞれの戦闘準備を始め

どこか退屈な日々から一転する冒険の始まりに極度の不安と焦りが襲う…

それでも胸の高鳴りは抑えられなかった…











---銀河連邦本部 絶対防衛ラインSランク機密地下施設 第7ブロック---






アポトロディウス到着まで後55時間…


「どうだ?すぐ様出られるようにできる限りの事はしたが」

アレーンがプリシスと同行でMTKを格納しているブロックへ極秘で入っていた

「凄いです…ここまで整備されてれば、私の機動特訓がスムーズにいきそうです

ありがとうございます!」

プリシスはMTKのコックピットに入り込んで状態を確認すると、軽やかな動きで地面へと着地する

この格納庫の上部のライトを遮るMTKの大きな丸いボディの影から…プリシスはMTKを見上げた

「エクスペルの仲間達が気ががかりか?心配するな

アポトロディウス戦の後、すぐにエクスペルでお前達の仲間も拾っていく」

その様子にアレーンが気がついて背を向けそう呟くと、格納庫を後にする

プリシスはアレーンの気遣いに瞳を閉じて大きく息を吸い上げると口元を緩めて微笑んだ

「よっし!練習練習!」












---銀河連邦本部 実技練習ルーム 第251フィールド---






「駄目だ…どうやっても二日じゃあの早さには…」

レオンが拳で空を斬ると、ヴァンのあの戦闘フォームを思い出してため息を吐く

音速を超えた攻撃が見られるヴァンの戦闘能力…それでもあの余裕を見せているということは…

「でも隙がなかったわけじゃない…」

格闘だけでなく、紋章術の揮発的な攻撃の数々…それらをどう応用するか…

レオンは熱心に実技練習を進めるが…

「レオン!お休みの時間も重要です!」

リヴァルがタオルと飲料水を持ち込んで駆け寄ってきた

どこかむくれ顔で無理をしようとしているレオンの顔をじっと見つめるリヴァル

「でも…!」

「でもじゃありません!」とすぐ様返されてレオンはたじたじでその場で倒れこんだ

倒れこんだレオンの横でそっと座り込むリヴァル…恥ずかしそうに小声で何かを言っている

「え?」

レオンはフェルプールの特性上…聞こえてはいるのだが…あたかも聞こえていないかのように答えた

「せっかく…せっかく再会できたんですから…私の事も…かまってください…」

「え?」

リヴァルは何度も聞き返すレオンに立ちあがってカツカツと出口へと向かう

「リヴァル!」

そう言われて笑顔ですぐさま振り返るリヴァルにレオンは両手を広げる

「おいで」

リヴァルが少々恥ずかしそうにレオンの胸に飛び込んでいった



「レオンは一人で戦うんじゃないんです、私もいればバッカスさんなどもいます

連携してやらないと絶対駄目です!」

いつの間にやら説教が始まり、なんやかんだで日にちは過ぎていく
















---銀河連邦自治区外 ミョウジョウの丘---






アポトロディウス到着まで後35時間…


広大な草原と荒野が広がる丘…どこか昔の自然が残り、山々は青々しい…

だが、そこの大地には既に小さな人工生物以外はおらず…どこか寂しさが溢れる…

こここそアレーンがアポトロディウス戦をするに値すると選んだ場所

完全に開けている荒野を選ぶと…確実に戦力が物を言う…

なので、この地形を利用してアポトロディウス及びヴァン達を

撹乱しながら最小限の力で倒す、それが目的である

そこで既に実践を行っているクロードは、休憩のため…森へと足を運んだ

「なぜだろう…ここの森を見ているとどこか…落ち着く…」

本当のところ、今日この時間はレナ達との打ち合わせがあったのだが…

クロードはひたすらにNOVAの演習だけを進める…

打ち合わせ内容は電子文書で送ってもらう事にして、出来る限りレナと話をしたくなかったのだった

気付かれては…いけない…クロードはその一心でざわつく心に釘を刺しながら

クロードは木にもたれかかって日陰を堪能し、ざわざわと騒ぐ風に耳を澄ませる

「ん…?」

ふと遠くを見た時…一人の男が草原の一角で立ち尽くしていた…

服装は見た限り軍人ではないが…エンブレムは銀河連邦の者で…

明らかに見覚えのある後姿にクロードは立ち上がり

「よいしょっと…」

クロードはどこか警戒しながらもその男に近寄ると声をかけた

「リュウマ…!」

クロードはその名を呼ぶと、ゆっくり振り向いてその男は頷く

「おぉ…クロードか!この地に来るのは初めてで…

本当にここであっているのか分からずに途方にくれていたのだ!」

この人物こそリュウマ・マーべリック

クロードより長身で肌は白く、つやのある長い黒い髪と穏やかな瞳…

銀河連邦の総司令を父に持つ、エリート中のエリート

どんな逆境にもそれを好機として進み、学ぶその姿勢は模範と言える存在であり

だからと言っても高ぶる事無く、謙虚で誰からも好かれるのだから非の打ちどころがない…

それでもケニー家とマーベッリク家の昔からの間柄で兄弟のような関係ではあった

「まだレナには言えていないのか?」

そのクロードの抱える事実を知るのはリュウマとごく限られた者だけ…

理解者としてクロードの落ち着ける相手でもある…

クロードはリュウマの問いに頷き、「焦る気持ちがなってない」と指摘された

リュウマはなびく風を体で感じながら空を見つめる

「やはり言えないか…惑星探査の任務中の事故で


今までの記憶が全て無くなった事を…」


そう…クロードは数か月前の事故から全ての想い出…記憶を無くした

今のところ日常生活が出来るまでは回復したが…

記憶は極最近産まれたばかりのような真っ白な状態…

クロードは瞳をゆっくり閉じて悔しさから唇を噛み締めた

「大切な人だったからこそ…言ったほうがいいんだろうけど…

だからこそ…言えないんだ…」

プリシスやレオンはそこまで気を使わずに接していられるが…

今までの記録などに残る記憶だけを頼りにレナと恋人として接するのは…

違和感とすれ違いで気まずくなる一方で…離れる他無かった

「………」

リュウマは何も言わずに雲が流れる青空を見つめる

クロードはそよそよとなびく風に一時の幸せを…

そして、これから起こる冒険の前触れ…嵐の前の静けさ…を感じ取った


























---銀河連邦本部 第9685ブロック 軍事会議棟C 88会議室---




「また?」

NOVAの飛行デモンストレーション及び、作戦手順の会議準備に追われるレナとイリア

レナに送られたクロードからの「電子文書で会議内容を送ってもらいたい」というメールをイリアに提示すると

どこか呆れ顔でイリアは資料をNOVA研究員分席に配っていた

「なんだか避けられてばっかりで…私…きっと呆れられちゃってるんですね」

レナが瞳を潤ませながら携帯の電源を切る…

イリアが頭を抱えながらぼそぼそと何か言っていたかと思うと、突然レナの手を引いて会議室を飛び出した

「あの…もう始まってしまいますよ?」

レナがおどおどしながらイリアの手を引く力が強まるのを感じる

「レナ…申し訳ないけど…今回の惑星探査…私と一緒に地球に残ってもらいたいと思ってるの」

そう言われて一瞬キョトンとするも…首を傾げて答えた

「そうしたら今回の惑星探査隊の戦艦のオペレーティングはどうするんですか?」

もちろんレナは惑星探査など行っている場合ではない…数々の仕事と重要任務が待っている…

それでも前回エディフィスでは遅れをとってしまった自分が嫌で…

こういう機会を与えてくれたのだからと…少々喜んでいたのだ

だから簡単には行くのを諦めたくない…

「どうにかするわ…レナ…?この状態…今のクロードと一緒にその任務やっていける?

一つのミスやチームワークの乱れをクロードとの険悪さから引き起こすなら…

行ってもらいたくないの」

それを言われた時、レナは一瞬固まってうつむいた

「私が駄目なんです…クロードが素気なくなる程に…

私がドジでばかり踏んで…きっと…っ…」

ぎゅ…

イリアは辛い表情を隠しながらレナを強く強く抱きしめる

「自分を責めないで…あなたは誰よりもクロードを理解していて…

誰よりも…優しいのだから…」

レナは肩を震わせて涙を瞳にため込むも口元を緩めイリアから離れた

「だ、大丈夫ですって!私の愛するクロードは…クロードは…!

どんなクロードであろうと…クロードなんです!」

イリアはレナの強く持つ意思を感じながら息を付いて微笑む

「クロードも幸せ者ね…」

レナがクスクスと笑いながらイリアに笑顔を見せた

「いってらっしゃい」
















---銀河連邦自治区外 ミョウジョウの丘---



山が連なる、ある天辺の木の上

「おうおう…結構なこった…

せっかく連邦に一泡吹かせてやろうと思ったのによ…

こんなとこじゃ何の災害もおきねぇじゃねぇか…

まぁ…後の楽しみだな」

ヴァンが少々退屈そうに木の上で屈伸をしていた

NOVAの飛行を観察しながら頭の中でシュミレーションしてみる…

「あんな玩具でアポトロディウス止められるんだか…」

その後ろで青い空を見上げるイビル・リヴァル(分身体)

黒き翼で辺りを黒い羽で覆う

「アポトロディウスは私達で命令は出来ても止めることまではできない

私達すら倒せないのなら宇宙の文明は滅びる他ないですね」

またその横で黒き羽で飛行する少女

「ギルメアはエクスペル…?」

黒いドレスを羽織るその少女は寂しげな表情でヴァンに聞く

「おう…ギルメアとアポトロディウスで

エクスペルの連中は十分だという判断らしい

なんだ?オリシアはここの連中では満足出来そうにないのか?」

オリシアと呼ばれた少女は寂しげの表情のまま頷く

「その辺のちょっと強いやつらとは少しばかりレベルが違うぜ?

少しは暇つぶしになるんじゃないか?」

ヴァンが背筋を伸ばしながらオリシアの表情を伺うも変化がない

「なら…いいの…」

ヴァンは唇をとがらせながらオリシアのテンションに乗れない事にため息をついた

オリシアは瞳を閉じて飛行したまま眠りにつく…

そんな中イビル・リヴァルが余裕の表情で微笑む

「さぁ…どこまで抗ってくれるのでしょうかね…フフ…」









刻々と過ぎる時間の中で様々な想いが交差しながらも着々と準備を進めるレナ達




気が付けばアポトロディウスが地上に降り立つ日となり




始まりの鐘がなった









続く___








† 蒼衣こめんと †


すいません、挿絵は皆さんのコス決まってからしっかり描きますのでお待ちくださいませ

SOSOGが完結しての久しぶりの執筆です

頭の中ではSOSOGが完結しているわけですから

簡単に修正出来るだろうと思われがちですが…

クロードが記憶喪失でなく、記憶を全部無くしましたよ…?

SOSOGではクロード達だけでアポトロディウスを倒すために

連邦会議まで開催する騒ぎですが、アレーンのおかげで秘密裏に動けて短縮できるわけです!

そこへプラスして、明らかにSO4のカップルの遺伝子を継いだリュウマ君の存在

そして敵方に新たなオリシア、ギルメアの存在

余裕しゃくしゃくなヴァン達…すでにイビル・リヴァル(絵的には携帯版リヴァルを想像してもらえれば…)がいますね

エクスペルにアポトロディウス…?どうやってあのアポトロディウスに対抗するのか…!

そして既にENUに行く話まで…

SOシリーズ全部知らなくても分かりやすく執筆していきたいと思います





こうご期待!!!




2010/01/05  蒼衣翼 





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