想い


















「アシュトンはエクスペルに、あたしはまた地球に…かえるんだよね」























---惑星エディフィス---




この星に墜落してから結構な時間が経った


クロード達とも合流し、宇宙船を直せるのもそう遠くはない


そんな中…


アシュトンは違和感を感じていた


「プリシス…?」


ぱっと振り向くプリシス


「なぁに?アシュトン」




いつもと変わらない笑みを浮かべて近寄ってくる彼女




一緒に旅をしていた時と変わらない笑顔




またこの事件によって集まる事の出来た僕達




皆相変わらずな所もあったけど、やっぱり2年という月日は長くて…




皆の色々な変化が分かる





でも…





プリシスはなぜか昔とほとんど変わらない様子で皆に接して、元気にしてくれる





僕に対する態度も少しキツイところもあったりするけど…



プリシスが変わっていないことで…








僕は安心することができた








そう…安心




まだ…僕の好きなプリシスが…昔のままいてくれるから








アシュトンは少しぎこちない様子で首を横に振る


「いや…えっと……なんでもない」


プリシスが頬を膨らまして背を向けた


「用がないなら呼ばないでよね〜!」




あー…僕も昔とあまり変わってないんだな…そう思った













夜になって…あまり明かりがない星空の下、プリシスが空を見上げていた




一人で何をしているのかと近づこうとするが、膝を抱えてうずくまり、体を前後に揺らしている




アシュトンは木陰からプリシスの表情を見た



「……」





まただ…





プリシスはいつもは皆の前では元気にしているけど時折違う表情をする時がある





無理…してるのかな…




僕はそう思うことしか出来なかった












---グラヴィス大森林頂上---



最初はただオペラさんの小型宇宙船の部品を取りに来ていたプリシスと


偶然僕は出合った


話も、やっと宇宙船が直りそうだって言う話しになって…





不意にプリシスが落ち着いた…


いや…寂しげな表情で呟く




「アシュトンはエクスペルに、あたしはまた地球に…かえるんだよね」




プリシスはスパナを置いてアシュトンから目を反らした






また…プリシスと離れ離れ…




次に会うときには…本当に…僕の知らないプリシスになってしまうかもしれない…




いつプリシスに彼氏が出来てもおかしくないのかもしれない




また不安でたまらない日を過ごすのかな…




でも…プリシスにはやっぱりもっともっと地球で色々学んでやりたい事をやってもらいたい…






「よかったね」






プリシスは…もう届かない場所にいるのかもしれないから…




これで…いいんだ







「だよね…これでいいんだよね…」







プリシスが少し控えめに呟く


アシュトンは首をかしげた







「ねぇ…アシュトン


アシュトンってば…




今でもあたしの事好き?







それとももう、嫌いになった?





アシュトンの頭は混乱した




「な…な…な…何?突然!?


何でそんな事を聞くのさ」




そのプリシスの切ない表情に心奪われながらも慌てふためいた


プリシスが顔を上げてアシュトンに歩み寄る


「いいから…答えて


アシュトンってば今でもあたしの事を好きでいてくれてるの?


それとも、もう嫌いになった?」






直接プリシスに僕が好きと告白した訳じゃない…




誰もが…分かっていた筈だから…




好きか…嫌いか…?




プリシスは…不安…なのかな…?






「そりゃあ…今でも好きだよ」






少し目線を反らしながらアシュトンは照れくさそうに頭をかいた


プリシスはアシュトンの襟首を掴んで自分の顔の前まで引き寄せる






瞳は…






本気で…真剣な眼差しだった






「もちろんだよ!」






だから正直に答えた…



でも…



プリシスはどこか怒った表情で怒鳴った





「じゃあさ、何で!?



本当にあたしの事が好きなんだったら…



何であたしが悩んでるって事に気付いてくれないの?」




「えッ!?」




一瞬プリシスが何を言っているのか分からなかった





そこで気付く僕





プリシスは…僕が悩みを理解してくれていると思っていた




悩んでいた事は分かっていたのに…





聞くことが出来なかった…





そんな自分が情けなくてしょうがなかった






「あたしが地球に行ったら…


あたしたちまた会えなくなっちゃうんだよ


なのに…



何でよかったなんて言えるのさ…!!!!」






プリシスは感情的になりながら胸を押さえ、アシュトンに迫っていく




「あたしはね、地球にいた2年の間にいろいろな事を見たり聞いたりしたんだよ


でもさ…


あたしが変わっちゃうことでアシュトンがあたしの事を嫌いになったりしたら嫌だったから


頑張って昔のまま…


皆と冒険をしてた、あの時のまま変わらないでいようって


ずっと…



ずっと、頑張ってきたのに…!」




僕はただプリシスの表情を見て胸が締め付けられた




そんなに…僕の事を想ってくれていたなんて知らなくて…





「ごめん…プリシス…」


プリシスは唇を噛み締めながら荷物を片付けてアシュトンの横を通り過ぎた


「先…帰るね」




プリシスの声が…どこか霞んでいる…




いつもだったら…僕はただプリシスの小さな背中を見ているだけだった




でも…




僕はプリシスが通り過ぎた時には既にプリシスの腕を掴んでいた


プリシスは無言でそのままうつむく


僕は目を細めた


「僕は…プリシスが変わるのは確かに怖かった


どんどん僕より頭がよくなって…僕よりいっぱい経験して…


でも…それはプリシスにとって…いいことだと思ったから…


僕は…置いてけぼりで…いいかなって思って」


プリシスは振り返ろうとはせずに肩を震わせていた


「えへへ…やっぱり…変わってないな…アシュトンは…


前よりいっぱい気遣ってくれて…いっぱい優しいもん…


私馬鹿みたいだね…


勝手に悩んで…不安になって…あたし…らしく…ない…よ…ぇ…ぅ…く…」




僕はそのまま手を引っ張って…ギュッと抱きしめたかった…




でも…僕は…プリシスの手を放した




抱きしめてしまうと…プリシスが頑張ってきたものを…壊してしまいそうな気がしたから…




プリシスは少しよろめきながら前に数歩進んだ




プリシスの背中が…本当に小さく見えた




少しの間二人は無言で、アシュトンが口を開く



「僕は…どんなプリシスになっても好きでいるよ」



プリシスは余計に肩を震わせていた


ゆっくりと顔をこちらに向ける


その表情は…どこか脅えていて…



「どうして…?」



初めて見る…プリシスの表情にアシュトンは数歩進んだ



「簡単な事だよ


プリシスはプリシスだから


いつも元気で、優しい所は…絶対に変わらないと思うよ」



プリシスは、どこか…自分を見失っていたのだろうか…



精一杯僕のために…頑張ってくれたプリシス





「ありがとう」





プリシスはきょとんとしていた


僕からのお礼をなんのお礼か分からずにただその場で胸を押さえていた


目から涙が伝う頬、僕はそっと右手で優しく触る


「僕のために…悩んでくれたから」


プリシスはそっと僕の手を両手で包み込む


「当たり前じゃん…」


少し笑いながら息を吸い込んだプリシス


「ふぅー…なんか…安心できた」


僕が安堵の笑みを浮かべるとプリシスは目を見開いた


「よぉーし!ひとまず宇宙船を修理しなくちゃね!話は…それからでも遅くないよね!」


頷く僕を見てプリシスは駆け足で駆けて行く



「アシュトンのばーか!

ギュッとしてくれるの待ってたのに!

後でおかえしだからね!」





アシュトンは苦笑いでその姿が見えなくなるまでじっと見守り続けた


「さぁーて……………まずは」


着いて来てくれていたメンバーに頭を下げた




*こめんと*


さすがにSO1000の小説一枚目を私が書かなくてどうする…

ということで!一枚目はアシュトンとプリシス、ブルースフィアのPAからでした!

お気に入りのPAですねーやっぱり

ちょっと二人の心境を考えながら書かせてもらいました

SOSOG書いてると話が大きすぎてあれなんですが

まったりしたお話がかけて良かったー…

いつもは挿絵を入れるんですが…

キリがないので;

今回はブルースフィアでしたが、SO1〜3までまだまだネタが

あるので頑張っていきたいと考えています



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